小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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            『律儀な高崎くん』

「待ってたよ山口さん」
 高崎君はとても律儀な正確だ。貸したお金はすぐに返してくるし、約束は死んでも守る!(一度何かの事故で両手を大怪我したのに約束の場所に来たことがあるという高崎くんの友人からの真偽不明な伝説があるとか)

 そんな高崎くんに今日は体育館に呼び出されました。
「何? ……話って……」
 呼び出された時点で私は何となく察していたが…
「あー、うん……」
 高崎くんが照れくさそうに言い淀んでいる、もしかしたら…だもんね? そんな彼がバスケットボールを用意して告げる。
「コレさ……コレが一発で入ったら俺達付き合おう!!」
 高崎くんの告白は男らしかった、しかも強引だったので開いた口が塞がらない。彼の台詞に混乱していた私は考える時間が欲しかった。

(え!? え――――――!? なに? 告白!? つーか私に拒否権なし!?)
 私の胸の鼓動が高鳴っていく。高崎くんはすでにバスケのウオーミングアップをしている。
(しかも高崎くん、バスケ部じゃない!!入るに決まってる。なんて強引なの!? そういうのキライじゃないけど)
 押しの強い高崎くんが経験者でもなかなか入らない斜め向きの遠い位置からシュートを打った。
「えっ、えっ、もう?」
 高崎くん的にはやり遂げた表情をしていた。ボールがバスケットゴールに入りそうな流れを私も固唾を飲んで見守る。

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