『株式会社木曜日』
――舞台は株式会社「木曜日」日本有数の大企業が多いビジネス街である。そこの管理課にて。
「ぎゃ―――――――――――――――――――――!!」
いくら調べても重要書類がないので、資料を探しまわっていたこの会社の課長が頭を抱える。
「ないっ、極秘書類がないっ!! わが社のわが社の秘密が漏れる!!」
就業時間中に関わらず(もちろん休憩時間ではない)この会社のOL秘書木曜子がとんでもないことを暴露した。
「大丈夫だよ。だって私ネットの掲示板に会社のコト書き込むときはちゃんとイニシャルでかいてるもの」
何から怒るべきかわからないのでもう後で説教しようと課長は考える。
「その話、関係ないからね、きよちゃん。それ、後でじっくり話そうか」
状況が悪い時に新入社員の鷹上という人物が資料を借りるためにやってきた。
「すみませーん、鷹上と申しますがー、ちょっと資料が必要なんで貸して頂きたいんですが……」
「あー、今それどころじゃないんだよぉ!」
いつもなら課長はもう少しまともな来客対応をするのだが、大変な事実のせいで資料分けした棚を往復しているのでそんな暇はない。
「じゃあ僕、自分で資料を探して良いですか?」
その方が効率いいだろうと彼が提案したのだが、ここの管理課課長に却下されてしまった。
「それはイカン! せっかく築きあげた聖域(片づいた書類の数数)を踏み荒らすような真似をしてはならん!!」
まるで図書館かのように、使う資料の内容ごとに整理された棚を課長が自慢気に語りだす。
「ほら見てみろこの美しく整った書類!! もはや芸術だろう! ちなみにタイトルは≪歴史の午睡≫」
やる気の感じられない木曜子がスナック菓子を食べているかと思っていたら、棚の上に座り出して書類(または本)を散らかした。
「≪春を告げる雪どけ≫」
管理課課長が駄目OL秘書木曜子のふざけた行動を怒りに詰め寄っていく。