小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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               『RBT』

 この物語の主人公、空乃翔(そらの しょう)は合格した高校が遠かったので両親の承諾を得て一人暮らしをしている。 一人暮らしを始めて一ヶ月、父からやけにデカイ怪しい箱が届いた。
「手紙が貼ってあるな……」 箱に手紙がついていたので翔は、はがして確認する。手紙の出だしはこんな感じである。

『愛しのマイエンジェル翔君へ』
 この出だしに翔は怒りを覚えました。
「誰がエンジェルか」
 イライラしていると、荷物からめきめきと不吉な音がしているので気になった。
『一人暮らしは大変だろうからお手伝いをしてくれるロボットを送ります』
 荷物から両手足のようなものが生えてきたのを目撃して翔は言葉を失う。
『ちょっとシャイな性格だから迷惑になるようなことはしないはずだ』
「ちょい待て――――!!文章と実際がマッチしてねーぞオィイイ!!」
 荷物から飛び出てきた両手足が翔を追いかけてくるので俺は不気味さのあまりそれから逃げた。

「出会い頭のサプライズです。驚いていただけたでしょうか?」
鼻歌を歌いながら荷物の上側を破って首を出す何か。
「ああ……一ページ目から終焉(しゅうえん)【クライマックス】を迎えるかと思ったぜ…」
 翔は全速力で逃げたのでわき腹が痛くなっている。
「わたくしアシストロボットのアトと申します」
「あ――、うん」

 荷物の中から体全体を出すアト。
「本日から翔様にお仕えさせていただきます」
「あー……はいは……」
 俺は頭をかかえた。
「……あ?」
 翔は落ち着いたので何とか理解した。
「ついでに明日からアトも人間として学校に通わせていただくことになっています」
「うん!?」
 
 どんどん話が進むので俺は理解するだけでも一苦労だ。
「不束者ですがよろしくお願いします」
 アトが礼儀正しく翔にあいさつする。
「待て! 俺は認めてな――」
「反論は認められていません」
「選択権無しかよ!?」
 俺は選択ぐらいさせてくれと思った。

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