翌朝、アトを送り返すことを決めたのだが…・翔は別の部屋で身支度を整えてから(ひとつの部屋だがフスマでしきられている変わった物件)朝ご飯を作ろうかなと台所にやってきた。
(学校が終わるまで家でおとなしくしてもらうしかねえか……)
「翔様!」
翔の姿を発見してアトが声をかける。
「おはようございます! 朝食の準備がすんでいますよ!」
女の子姿アシストロボットとはいえ、とてもエプロン姿が似合っていた。
雰囲気的に何か新婚家庭っぽいなと俺は感じてしまった。思わず通学カバンを落としかける。
「…………ッ」
たまらず走り去る翔、自分の脳内に文句をつけたい。
「翔様、どちらへ!!?」
空乃翔、結構シャイな十五歳。
結局飛び出したまま登校してきた。翔は学校の三階に着く直前に(まぁ、説明は帰ってからでいいか……)&と考える。廊下を通って自分の席がある教室に入る。俺が考えごとをしながら席に向かっているので誰も声をかけてこなかった。(学校にいる間に対策を考えないと……)
いつもしていることなので無意識でも席に座れるものだと思った。隣の席の女生徒が談笑している。 よく見るとアトである。俺は今まで考えていたことを無駄にされたのと、何でいるんだよってダブルパンチ状態で『普通にいる――……!!』と肩を落とした。
「お前何早速クラスに溶け込んでんだよ……一体何しやがった」
翔はアトを廊下に呼んで訊いた。
「大丈夫です、障害は残りませんので」
アトが事務的に気になることを答える。
「マジで何かしたのか!?」
何をしたんだと俺の心境的にもギョッとする。
「はい、ある程度認知してもらう必要があるので」
「まさかロボってことも話したんじゃ……」
俺の平穏の日常は続けられるのかと、気がかりなことを聞いた。
「そのことなんですけど、早速バレそうになったので……」
ロボットだと疑われたことをアトが俺に報告する。
『こうと操作しときました☆』
もう一部の生徒はアトの催眠(?)で記憶の書き換えをされてしまっているようである。
「っと?」