昼の時間になった。こいつが俺の級友達にどんな記憶操作をしたか知らないが、アトと俺が並んで歩いていることは普通のことらしい。
「オマエ、昼メシは?」
朴な疑問をアトに問いかける。
「食すことは可能ですよ」
自動販売機で何かを飲む気だった俺は気まぐれでアトにおごってやる気になっている。
「何か飲むならオゴるぞ?」
アトが嬉しそうにウキウキしていた。
「まあっ、本当ですか!?何てお優しいっ!」
アトがロボだったな〜ということを口にする。
「ではレギュラーを」
とはいえ、俺はこいつに普通は存在しないことを教えてやらないといけない。
「ない!」
アトはないのかという表情でまたロボの原料になりそうなものを答える。
「では軽油で」
「ねーよ! お前は車か!!」
せっかくオゴッてやろうとしているのにそんなことばかり言われた俺は思わず怒鳴ってしまった。
俺はアトにロボが好むものはないと説明してからサイダー(炭酸)を購入した。アトには微妙でも色などがロボの原料に似ている気がするコーラを購入して渡してやる。
「これが人間の飲み物なのですね」
自動販売機の近くに誰でも自由に座れるスペースがある。ゆっくりするひとときは俺にとっては大事だ。隣でアトがコーラを一気に飲めるだけ飲もうとしているところである。 コーラを飲んだ後、アトから(正確にはアトの体内から)「ゴゴゴ」だとか「ドッド……」や「グワングワン」などの機械っぽい音が聞こえてきた。アトの体が振動している。
「……何だ今の音?」
「飲んだ液体を気化しました」
アトにとってこういう飲み物はエネルギーに変換されないのか?
「イミなくね!?」
「ないです」
「ないの!?」
俺が感じた疑問はどうやら事実だったみたいだ。でも一緒に飲食をともにできるものはいないよりいたほうが良い。