落下した幽霊ちゃんが、俺の戦慄している間に戻ってきた。俺は考えていることをそのまま話す。
「この高さから落ちて無事…便利だな幽霊は」
その一言で幽霊ちゃんの怒りの導線に火をつけてしまったようである。 右からはたく、ひだりからはたくと予想しやすい行動だったので攻撃をよけるのは容易であった。
「よっ」 「はっ」
何度もよけられた幽霊ちゃんの怒りの一撃は今までのスピードより比べ物にならない程速く、俺の頬から小気味良い音を立てることに成功する。少し口内が切れたかもしれない。
「よけるな!!」
俺は叩かれたことに自然な驚きを感じる。
(幽霊に殴られた……!)
驚くタイミングがちがうって?
「面白いなあんた」
俺は幽霊ちゃんの今までの行動を見てきて笑ってしまった。 そんな俺を気にしている彼女もまた良い。
「こんなトコにいないで早く成仏しろよ」
俺は思ったことを伝えてやった。 バイクにまたがって俺はこの場を後にする。
「じゃあな」
その彼が去っていった後にヒトダマちゃんが幽霊ちゃんに同意を求める。
<失礼な人間でしゅご主人たま!あんな奴呪い殺して…>
幽霊ちゃんから返答がなかったのでどうかしたのかと思ってヒトダマちゃんが彼女を見ると、あの橋爪とかいう男に心を奪われた感じになっているので言葉を失った。
俺は部屋に帰ってきたのでドアの鍵を開けて入る。ここでさっき出会った幽霊女のことを思い出す。
(面白い女だったな)
俺がいつもくつろいでいる空間に何故かさっきの幽霊ちゃんがいた。
何かを言いたそうにしている彼女を気にせず、俺はシャワーを浴びたり着替えをしたりの後で何か面白い番組でもやっていないかとテレビをつける。 気づいているはずなのにかまってくれないので幽霊ちゃんがぐずりながらラップ音を発生させる。
「わかったわかった」
俺は無視するのをやめてかまってあげることにした。