小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 幽霊ちゃんが自分の怖さをアピールするためか、窓に赤い文字を浮かび上がらせた。 赤い文字が垂れて不気味さを演出しているが血だとも思えないので俺は特に気にしない。

 俺が何気にその字を見てみると間違っていたので指摘する。
「祝うのか?」
 幽霊ちゃんはとても恥ずかしそうにしていた。 俺は無関心にただ彼女を見ていたら文字を手で消していた。それってそう消すんだなと思う。そんなに誤字を指摘されたのが恥ずかしかったのか。

 手で消していたかと思ったが、どうやら書き直しも出来るみたいだ。幽霊ちゃんが不敵な笑みを浮かべたが漢字にまた微妙な違いがある。
「……惜しいな」
 良く見ると「呪いの口っぽい部分」が日兄という感じの誤字になっている。ヒトダマちゃんが泣きながら正解の文字(呪)を持っていた。

※イラスト予定

 俺は幽霊ちゃんを相手にしていなかったが結局は長い髪で目を隠して不気味な表情をしている幽霊ちゃん。 どうやら俺は本格的にアイツに憑かれてしまったらしい。俺が寝起きのボーっとした感じで洗顔に行くときこっちにも憑いてくる、あっちにも憑いてくる。
「トイレの中はなぁ……さすがにちょっと……」
 俺が憑いてきてほしくないことを告げると、今気づいたかのように幽霊ちゃんは赤面した。
「〜〜っ!!」


 寝苦しい夜、ふと目を覚ますと俺の頬に女性の髪が当たる。
「ん……」
 アイツ(幽霊ちゃん)が天井からぶら下がっていた。暗い中で見たらある程度不気味ではある。妖怪の天井なめとか思い出してしまった。

「カゼひくぞ」
 誰が不気味な行動をしているのかわかるので幽霊ちゃんの手を引っ張るのだが、彼女が俺を叩けたように俺が彼女に触ることも可能だったみたいだ。
「おやすみー」
「―ー〜〜〜〜っ!!!!」
 俺はまるで赤ちゃんあるいは幼児をあやすような感じで幽霊ちゃんをナチュラルに添い寝させるのだった。

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