俺は動き回っている幽霊ちゃんに台所に入るなと言われたので他の趣味などで時間をつぶしていた。その頃、彼女は台所で作ったもの(完成品)を見て「本当に死ぬかも」と戦慄しながらも箱のフタを閉める。
「弁当作ってくれたのか、サンキューな、行ってきます」
学校へ行く前に今日の朝食にと昨日買い置きしておいたパンでも冷蔵庫から出して持っていこうとした剛は、台所の机に置いてあった弁当箱に気づいて持っていく。
「あ゙っ……!!」
さすがにやりすぎだと考えて捨てようとしていた所なので持っていかれては幽霊ちゃんにはどうすることも出来なかった。
「ただいま。弁当ウマかった。ごちそーさん」
夕方くらいに帰ってきた剛は体調を崩している感じであった(たぶんお腹をくだしていると思われる)でも律儀に弁当箱を机の上に置く。
「……死ねばよかったのに」
剛が多分トイレにこもっている間に弁当箱の中を見る幽霊ちゃん、でも感涙してしまっていた。
そういう話があった翌日、俺(剛)が学校に登校した時のこと。俺の制服に長い髪がついていたのを目ざとく発見した友人がからかいのタネを見つけた感じの表情をする。
「お! 背中に長い髪発見や! 剛もスミにおけへんのぉ」
「代泉」
俺が相手してやるかと代泉(だいずみ)に気づくと、その彼が少しやっかみの入った感じで絡んでくる。
「彼女(オンナ)かぁ? どんな娘や? べっぴんか?」
友人の問いかけに俺は思案した。
(どんな……?)
幽霊ちゃんの行動を思い出していた俺は、彼女が良くこういうことをしているかなと思い出す。
「よくスキマから恨めしそうに俺のこと見てる……」
例えば夕飯に誘ったり用事があって呼んだりしているときも、トイレのドアのスキマとかスキマさえあればそうされていることを話す。
「怒るとラップ音とか鳴らす……」
話を聞いていた俺の友人は想像してしまったのか恐怖で歯を鳴らしていた。