小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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               『インフィニガールバイター』

――とあるコンビニ
「今日からこちらで働くことになりましたアルバイトの猫好です、よろしくお願いします!」
 一緒の時間帯に働くことになる先輩店員さんと改めて店長さんに、つたないながらも礼儀正しい挨拶をする。


「私がこのコンビニの店長の小吉(こよし)です。よろしく!」
 四十代前半と思われる店長に挨拶を返された。
「面接の時に会ったのに……店長は一体……誰に自己紹介を!?」
 店長の目線の先に私がいなかったので、挨拶はこれくらい元気な声でするのが理想なのかと想定する。 仮に自己紹介だとしたら読者の皆様と考えてもらってもいいかもしれない。

「俺は馬山だよ、よろしく」
 地毛という訳でもなく、黒髪をスプレーか何かで染めていそうな外国人風の顔立ちをした先輩の方から自己紹介してくれた。この先輩は多分逆ナンパとかされたことあるんだろうなと想像できる魅力を感じる。

「わからないことがあったら何でも聞いてくれたまえ」
「なんでも……」
 馬山先輩に仕事について、教えられることは伝えるからと私は言われた。 私はあえてカバンの中から数学の教科書を出して上目遣いで訴えかけてみる。
「宿題は自分でやりなさい」
 別にボケたつもりではないが、どこか突き放された印象を感じた。


「高橋よ! よろしく!」
 茶髪で髪をまとめるリボンをしたやえ歯の似合う感じの、中学生のような外見な体格の女店員にも自己紹介してもらう。
「先輩としてこき使ってやるんだから」
 何だか可愛い先輩だなと私は思った。

「高橋君は昨日から新しく入った子だよ」
 馬山先輩が私に彼女も新人だと教えてくれる。
「一日でも先に働いているんだから……先輩です!!」
 高橋さんの可愛い言動に、私は彼女とはプライベートで遊ぶ機会があったら友達みたいに接しようと思った。

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