小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 『元冒険者ショップ』

 子どもの頃からいつも一緒だった五人の男の子。彼らの将来の夢もまさかの一致でした。「いつかみんなでお店をやろう」どこにでもあっておかしくない日常だろう。そして時は流れ――

 まさか本当に仲良し五人組でお店を経営するとは思っていなかった。でも五人は共同経営することになって嬉しそうだ。サカエはアイテム担当(気が利くしっかり者タイプ、髪の毛は真ん中分け)・ビーメは武器防具担当(彼は知的でメガネの似合う、そしてお坊っちゃんに似合う髪型のお坊っちゃんタイプ)、ルートは食料品担当(活発でスポーツマン・短髪の似合うタイプ)、ディーアは魔法担当(前髪で目が隠れている、何を考えているかわかりにくいタイプ)、エデルがアクセサリー担当である(五人の中で一番オシャレ。長めの髪を束ねている)

「アイテムが売っていないと始まらないだろ!」
「いや、武器と防具がないと遠出する旅人さんは危険だよ」
「腹が減っては〜〜〜って言うだろ。食が一番」
「………魔法……」
「装飾品をバカにしちゃいけないな、耐性とか付くのもあるぞ」
 みんなの意見を取り入れたいので喧嘩もしたくないし一つの店にまとまる形になった。ある街の中心部に開店させてもらえるというお店としては最高の立地条件なので後は旅人ウケが良いようにしていくだけとなる。

 改めてサカエはアイテム全般担当。仕入れの時は武器防具担当のビーメにお店の手伝いをしてもらっている(共同経営はこういう助け合いしやすいのが利点。その逆にサカエがビーメのお店を手伝う時もある)
「商品の仕入れが終わるまでよろしくなー!」

 それから一週間後
「ただいま〜、帰ったぞー」
 サカエは商品の仕入れを簡単な問屋のような場所で買うことはせず、モンスターの巣窟に行くようにしている。その方が問屋に出回らないアイテムが入手可能というこだわりがあるようだ。回復アイテムだけでなく、めったにお店には出回らないアイテムを入手してきた彼。

「また随分と大冒険してきたみたいだなあ。僕のお店の武器防具も役立ったみたいだしな」
 サカエは冒険者の血が騒ぐのか、今だに武器防具を購入することがあるのだ。
「いやあー、ついつい」
 ビーメの問いかけに照れを隠せないサカエ。冒険者の頃の血がやはり騒いだようで、すごい偉業を達成してきたみたいである。
「街の広場に銅像が建つって一人で何を倒してきたんだか」
「自称魔王がアイテムを譲ってくれればなー」
 言葉通りなら最強クラスになるサカエ。どさくさまぎれにディーアがお土産を催促していたりする。さすが考えが読めない人物。

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