小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 ビーメは武器防具担当。手入れの行き届いているお店だと評判は上上のようだ。
「剣に鎧・盾・兜はいかがっすか〜」
 心配でその様子を見ていた食料品担当のルートはビーメが普通に接客出来ているようなので安心する(フランクなおぼっちゃんタイプで接客が初体験の割には様になってきたかもな)
「いらっしゃーい」
 青銅で作られた装備を身にまとった戦士だと思われる人物が武器を求めに来た。
「剣を見せてもらえるか」
 その武器で倒す敵について聞き始めるビーメ。武器を少しでも長く使ってもらいたいからかもしれないがお客さんは困っていた。
「それで倒したい敵は何だい?悪者?ギガント?なんなら私が直接…」
 お客の戦士がただ断るのもなといった感じで立ち往生している。仕方がないのでルートが助け舟を出した。
「いや、ここは傭兵屋じゃないワン」 


 ルートは食料品担当。食料品を扱っている関係で食べ物屋を開いている。今は中華料理の炒飯を温めているところだ(すでに下ごしらえは済ませてあるので後は炒めて味付けをするだけ)
「どうもいらっしゃいませだワン」
 曜日によって違うが、今日はパンケーキの日である。一時間に数個ずつパンケーキに最適な温度を保っている最新機器において販売しているのだ。バターやイチゴ・オレンジ・ブルーベリーなど各種
ジャム・はちみつなどが用意されていて人気の高い一品である。
(へぇ〜犬耳の親しげな印象の獣人店員さんなのかぁ……ん?」
 獣人さんの尻尾の違いに気づいた女性のお客さん。気になって仕方がなくなる。
「まさか…それタヌキの尻尾…」
 それに気づいたお客さんにルートが本音を語った。
「『〜ポン』より『〜ワン』の方が良くないか?むしろタヌキの鳴き声がこうなのかさえわからないが」

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