小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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     『サンとイナール』


羽のようなワンポイントがオシャレな帽子とブルークロークで身を固めているユニコーンの巫女、サン。イナールと故郷の森を目指しているところである。
「こんにちは〜、私達わけあってユニコーンの森を探しています」
 誰に自己紹介しているかわかりませんが、サンは旅の連れとして一緒にいるイナールと共に挨拶した。ユニコーンの森…どこにあるか半人前の巫女は全然教えてもらっていない。なので今日は街で情報収集することにした。

「逃げても仕方ないでしょ」
 実はユニコーンの魔法の強力さに政府が街に入れてくれない事実がある。なので街には変身して入ることに。ユニコーンのプライドの高さからすぐには変身してくれなかったが折れてくれた。
「なんて可愛い姿。これなら誰もユニコーンとは思わないでしょ♪ では行こうー♪」
 ユニコーンのイナールは丸型のヌイグルミっぽい獣姿に変身したことになる。


 神獣魔獣立入禁止の立看板を見なかったことにしてサンは街の門番に挨拶をする。
「ガーディアンさん、お疲れさまです〜♪」
 門番は少しイナールの姿を見ただけで判断した。
「ん?珍獣のようだな?なら入って良し!」
 目論見が成功して上機嫌のサン。街の草むらで一息つく。
「ふっふっふ、潜入成功したよ〜♪」
 別に変身しただけで神獣の力は健在である。小鳥のさえずる鳴き声がするこの場所に悪者の気配を感じ取ったようだ。

「んっ、何?魔獣の匂いが近いの?」
 見上げた先の木の枝に鳥の巣があり、それを狙っている奴(生物)を見つけた。
「大変だ!小鳥が!!」
 小魔獣スネクン=小鳥が好物の小魔獣、小鳥を助けようとサンが早速行動に移る。
「食べられちゃいそう!イナール助けてあげて」
 ユニコーンを守護するための巫女ならやるわけないと思われる行動なのだが、サンには当てはまらなかった。あろうことか、イナールを魔獣の元へ投げつけたのである。

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