街で教えてもらった白い樹がある(条件が整うと金色に光る樹らいしいという噂)地点はイナールに乗って十五分程、東へ進んだ場所にあった。白っぽい樹を見つけたのだが、枯れている感じなので困る。
「白い樹…これは枯れちゃっている?うーん、雨も降ってきたぞ〜」
雨が降ってきたが、白っぽい樹の一部にウロがあったので入らせてもらうことにした。
「雨宿りに使えそう、広いし」
樹の中が広かったのでもう少し奥に進んでみると、なんだか小さな部屋を発見する。 サン達は小さな部屋の住人に見つかってしまった。
「あっ、ごめんなさい。妖精さんのお家なんだ」
花びらをアクセサリーや洋服にしている妖精・葉っぱや布切れを洋服にしている小さな妖精さんが部屋に招き入れるような仕草をする。
「いえいえ、寒かったでしょう。お茶はいかが?」
好意に甘えて部屋でお客さんとしてくつろぐサン達は妖精さん達の笑顔にも癒された。
「ありがとうございます。美味しいですね〜」
妖精さんはサン達が飲み物を飲んだ後にサーナが心配になることを告げる。
「『人』に飲んで頂いたのは初めてです」
(う〜ん…大丈夫かなー?)
こんな妖精さんの家まで人間が来ることはなかったのであろう。でも自分が実験台になってしまったのかと不安にはなった。それを消し飛ばそうとサンは自分はユニコーンの加護を受けているから平気と言い聞かるのであった。
妖精さん達に『ユニコーンの森』についての情報を聞こうとしている時、ミニチュアのベッドで体を起こして少し辛そうな妖精さんがいるので心配になったサン。イナールの能力を使えば治せるかもしれないのでそのことを提案する。
「体調良くないんですか?イナールの角に癒しの力があります。試してみませんか?」
しかし、ベッドにいる妖精さんは遠慮した。
「いえ…お気遣いなく」
「遠慮なさらず、試してみましょう。いくよー、イナール!癒しの――」
サンは立ち上がることで精神統一し、イナールの力を引き出そうとする。
「ーン!」
妖精さんの住んでいる家なのを忘れていたので天井が低いことがアダとなったサンは天井に頭をぶつけてしまった。
彼女は痛さでうずくまる。
「うっく…天井低いの忘れてたよ〜…でもほらこういう痛みでも癒せるんです」
本当はベッドにいる妖精さんに試す予定だったが、偶然の結果でイナールの癒やしの力を実演して見せることが出来た。
「だいじょうぶ?」
飲み物を用意してくれた妖精さんに心配の声かけをしてもらったが、癒しの力を先に見せてあげられたことをプラスにとらえるサンなのであった。