小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 妖精さんに癒しの力で回復するかどうか試すサンとイナール。イナールは『汚れた水』=病魔を発見したので回復を始める。
「汚れた水を感じたそうなので浄化を開始しています」
 イナールから透明な光が発せられていくうちにベッドで休んでいた妖精さんがまず立ち上がれるまで回復した。

「おおおお、力が漲ってきますぞ!」
 立ち上がるどころかやる気がみなぎってきた感じになった少し年配の妖精さん、それを祝福するかのように先程までの雨が止んで太陽が顔をのぞかせている。
「元気じゃー!雨雲を吹き飛ばしてくれる」
「お日様ー」
 妖精さんたちの喜びようを見て自然と顔がほころぶサン、優しい日光が温かさを伝えてくれていた。

「わあ、いつの間にか晴れたね」
 妖精さんにお世話になったり、彼らが困っていることを助けてあげられたサンとイナールがお暇させてもらうことにする。
「それじゃあお元気で〜、お土産までいただいちゃって♪」
 最後まで歓迎されたサンとイナールは、帰り際に妖精さんのお菓子を頂いてしまうくらいだった。

「見てみて、イナール。すごいよ〜」
 何かに気づいたサンが感嘆の声を上げる。外に出たら白っぽい樹が活き活きしているかのようだ。
「きっとこの森の王様だったんだねー」
 白っぽい樹に光が差し込んでいる様子は神秘的な風景になっている。周りの植物や動物もどこか幻想的でまるでここ一帯に妖精の加護が授かっているかのような光景であった。

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