『お嬢様を戦場から守る少年』
ある日の学校の帰り道、高校から駅までの道で憧れの金色の髪で柔らかそうな髪質、素朴な感じで誰もが親しみを持つと思われるお嬢様なのにお嬢様っぽくないクラスメイトを見つけた成績にしろ、見た目にしても良くも悪くもない平凡な高校一年生、真水君。
(あっ、矢野原さんだ)
矢野原さんに会えた嬉しさを表情に出さないようにして彼女に声をかける決心をしながら真水君は近づいていく。
(さりげなく声をかけて一緒に帰れないかな〜〜)
何かが頬に当たったので微妙に気になった真水君は殺傷能力はないかもしれないが、恐ろしく威力のありそうなゴム弾で威嚇射撃をされた。
「あら、真水君!何、座ってるの?」
振り向いたときに真水君を見て微笑んでいるということは、矢野原さんも彼に関して悪い感情はないとわかる。しかし、真水君は空から攻撃されたショックでそれどころではなかった。ゴム弾でも上空からの重力が加わっているので大怪我、下手をすれば死んでいたかもと思うと言葉が出ない。
「お嬢様に背後から近づく不審者め!!」
真水君に威嚇をしたのはヘリコプターの席からの迷彩服の男だった。矢野原のお嬢様を守るためかヘリから飛び出した迷彩服で銃を持っている男は当たり前だが、パラシュートを開いてゆっくりと降下してくる。その彼はパラシュートが切れた電線に引っかかり、電流で体にダメージを受けた。
「うぎゃあああああ!!」
「誰!?」
真水君はそんな状況なので焦りものだが、矢野原お嬢様はなんだか心配はしていても、またかという感じの驚き方である。この迷彩服の男はお嬢様の前で何度も自分のミスで怪我をしているのかもしれない。
「大丈夫ですか?」
「うぅ・・・」
怪我をしている迷彩服の男を放っておけない真水君は彼に肩を貸す。
「鍛えているから平気よ」
矢野原さんの視線を感じたと思った真水君は、優しい声をかけてくれた彼女に自分の下心を悟られないようにさりげない口調で返した。
「え?矢野原さんの知り合い?」
「彼は私のボディガードよ〜、という訳でー、私を危険から守ってくれるの」
矢野原さんが迷彩服の男をボディーガードと紹介すると、そのボディガードに真水君はこめかみに銃をつけられる。
「え?」
さっきから怖い思いをしていたのはこの人のせいかと思って、彼は顔を青ざめさせられるのであった。