『カム・・・デビル』
俺の名前はあやと。どこにでもいそうなせめて身だしなみを良くしたいと思っている高校生だ。ある日の朝、いつも通り身だしなみを整えようと鏡を見たらおかしな点に気がつく。一体何故こんなことになっているのか、俺は確かに鏡を見ているはずなのだが?そんな良くも悪くもない俺の顔が、鏡には男なのか女なのかわかりづらい別人が映っているのだから謎である。 俺はそれは違うだろといわれてもおかしくないことをつぶやいた。
「…ね…寝グセのせいかな…?」
俺がつぶやいた途端、鏡の中にいるとしか思えない者がムッとした表情をする。どうやらお気に召さなかったようだ。
「失礼なことを言うな。寝グセなんかじゃない」
鏡の中の人から反論された俺、一体何がどうなっているんだと混乱の最中にあるが、とにかく今のその事実に背筋が寒くなる。
「喋った!? ひゃあっ!!」
ある意味怖い体験なので心臓にも悪い。そんなことは構わず鏡の中の同年代っぽい外見の人物が反論を続けていた。
「ましてやお前の顔が変わったわけでもない」
鏡の中の女の子っぽい少年か少女が何かまだ話しているが、俺は誰かが手の込んだイタズラでもしているのかと考えて、とりあえず両手で鏡を外していく。
「聞いて驚け、なんと私は悪魔だ」
何か世迷言が聞こえた気がする俺だが、それはスルーして鏡が置いてあった場所と鏡自体を全体的に調べた。
「やっぱり何もないよな…」
「コラ―――――ッ」
どうやら信じてもらえなかったことがお気に召さなかったみたいである。