「落ち…落ちるうぅ」
普通に考えれば何だそれは?と思うだろう、だが鏡から鏡の中の人物の髪が出てきたので俺は「あ?」と考えつつもすごい手品かもしれないと今の状況を何とか説明がつくように持っていきたかった。鏡を上にして鏡の中の少年(?)の髪が出てくるということはと思って鏡を逆さまにすると少年(?)がまるでトコロテンのようににゅるんと登場する。鏡の中から登場した時、彼は顔を強打した。
「お…」
鏡の中から登場した少年(?)は痛みをこらえている様子だった。俺は少し悪いことしたかなーと思ったが、それ以上に何がどうしてこうなったのんだという心境の方が強い。
「お前の願いを叶えてやろう」
涙目の少年(?)からファンタジーなことを言われた俺はとりあえず彼の心配をした。
「それより鼻血出てるぞ、大丈夫か?」
俺は鏡を持ったまま固まっていたので彼の応急処置とかまでに頭が回らなかった。声をかけられたぶんマシではないかと自身に言い聞かせた。
「悪魔にお願いすると命を取られるんだろ?いらない」
俺は漫画やライトノベルにでもありそうな設定だと直感して少年だろうと思う中世的な雰囲気の少年の申し出を断る。関わりあうのを遠慮したい俺はその場から去ろうとした。
「お前はまず悪魔が鏡から出てきたことにもっとうろたえろ」
怒りの声のこもった悪魔(見た目は第二次性徴をしたかどうか微妙だけど声は可愛い)の少年にもプライドがあるんだろうな、もしかしたら彼のプライドを傷つけたかもしれない。でも俺はもう関わりたくないと思ったんだ、察してくれ。
「昔はどうか知らんが今は願いの大きさに比例して請求する命の量も違う。たいていの場合は寿命一年程度だ、安心しろ」
口調は間違いなく少年な感じだから少年だろう、きっとの悪魔少年が魅力的な条件を俺に語りかけている、悪魔の囁きに惑わされないように俺は話を右から左に流したのだが、彼が耳を疑う発言をしたので反応してしまった。
「あと、クーリングオフも適用される」
「マジで!?」
靴を履こうとしていた俺が聞き返すのも無理はないと思わないか?だってクーリングオフだぜ、気に入らなければ破棄出来るってことだろ?