小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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         『土地神再建』

 ここは町外れのとある少し忘れ去られているかのような神社、わっちはそこに住んでいる少しポッチャリした女の子姿のウチココヅチという土地神、これでも神なのである。いきなりだがわっちには夢がある。それは昔から変わらず残っているとはいえ、謎なキノコが生えていたり野良動物(主にネズミ)が同居している祠(ほこら)を建て直したいということだ。わっちは神社を再建するくらいの勢いでこの神社に人を呼んで多くの人に親しまれる神社に戻したいという一新な気持ちを持っている。貧乏だが負けてはいられない。

 私、ウチココヅチは考えています、人が来ないとお賽銭も集まらない。ということは何か策を練らなくてはという考えにたどりつきました。こんな場所でもお客さんが少ないだけでちゃんと人が来てくれる時期はある、絵馬を見たわっちは何やら閃きを感じ取る。
「人が来ないとどうしようもないんだよなー、でもどーしたら……ん? 絵馬……」
 絵馬に書かれている「素敵な出会い」というのを叶えようとわっちは神力を発生させた。
「そーだ! 願いが叶う噂が立てば、きっと人が集まるハズ!!そうと決まりゃ即実行ね!!」
 絵馬に書かれていた恋無(れんむ)さんの携帯の着信音が何度もなる。恋無さんの母親がどこか眉間にシワがよる感じになっている。
「なーに? 今日は良くメールだか電話が来るね」
 恋無さんはどれもこれもメールが出会い系メールだったが身に覚えのない変なサイトは見ていないと自信を持っていえる。怪しいサイトなんて無視するに限る。「うぜぇ」というのは経験したことのある人はみんなわかってくれると思った。

 ウチココヅチの神力は弱まっているせいで変なことになってしまったようです、土地神の彼女は恋無さんのその後を見るには神力が足りないようである。

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