小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 ある日、わっちは街で少しでも遊んだりしようと普通の人間にも見えるようにしてから散歩していて本屋が気になったので立ち寄った。目に止まった『マッチ売りの少女』の最後の方で涙する。この時は涙を見られたくなかったので姿を消していた。なのでたまたま隣にいた人は疑問を覚える。
「ううう……さぞかしひもじかったろうな少女よぉお〜、それにしても不思議な現象が起こるもんだ……」
 自分が土地神だというのを忘れているのか、ここまで不思議な現象を起こすことができないがわっちは絵本で見たことを実践し出した。
「よーし、そうなりゃあたいもやってみよ!! 焚き火でもすりゃもっとたくさんのものが……はぁ〜」
 
 すぐに試したかったのかなぜか室内で焚き火をする。当然燃やすものによるかもしれないが、室内には一酸化炭素が充満した。わっちは土地神なので炎などは神の力で街に被害が及ばぬように消し去ったが一酸化炭素中毒にはなる。仮にウチココヅチが見えていたら意識を失って泡を吹いているので一目で危険な状態だと分かったであろう。

 しかし、土地神は基本的には見えない。ごちそうの幻覚を見て「うわはは〜、ごちそういっぱい」「もう食べられないよ〜」とうわ言をつぶやいていた。
 
 
 ウチココヅチとその神社の運命やいかに!!

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