小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 古風な女生徒に視線を向けられている僕は内心ヒヤヒヤものなので汗が吹き出してくる。
(や……やば見られた? 今のもしかして見られた?)
 古風な女生徒が興味深そうに目を細めてにやけ顔になった。
「みて、しまった」
 僕は厄介な女生徒に見られてしまったかと思って動揺を覚える。
「フフフ……」

 どうにかして子音は彼女の記憶を消したりする方法の模索を始めた。考えがまとまる前に古風な女生徒が近づいてきている。
「ヒーロごっこしちゃうちょっとアレな男? 失礼・女・高・生」
「はぁ!?」
 古風な女生徒に変な勘違いをされたようだ。僕は助かったとは思ったが、その勘違いだけは個人的に許容したくないとも思う。


「おもちゃの銃でピ〜〜、フフ……なかなか可愛いじゃない」
 あの銃はあの生徒とその友達の人だけが驚く可能性がある、ということはさっきの噂好きの女生徒と目の前のこの生徒は特に接点はないということだ。
「ちょっ、お……おもちゃって地球人の低科学力と一緒にすん……」
 空間転移銃は僕の星の最先端科学なので反論しかけた。けれど余計なことを話す前に重要なことに気づく。
(ハッ、何を自分から正体をバラそうとしてるんだ僕ー?)
 
 しどろもどろになった僕はなんとかしようと試みた。
「あ……いやー、何というか」
 僕の出方を待っているのか古風な女生徒は何も言ってこない。
こ……ここはとりあえずテキトーに挨拶でごまかして逃げよー、そう思いごまかすために僕が取った行動は古風な女生徒の鼻の穴に二本指を勢い良く突き刺すことだった。
「ハローっ」



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