小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 古風な女生徒が、子音がつい言ってしまったことに反応する。
「そっ……か、宇宙人か」
 子音が思わず言ってしまったことは取り返しがつかない、後の祭りだ。
(ヤバッ)
 面白おかしいことを聞いたとばかりに古風な女生徒の目の色が変わっている。
「それはいいことを聞いた」
 
 古風な女生徒の手が僕の肩に触れる。どう言い繕ってもどうしようもないと子音は思う。
「宇宙人〜、宇宙人ね〜」
「いやっ、それは」
 心の叫び的にはもう絶体絶命である。いくら後悔しても時間は戻せない。
“じ……自爆だぁああぁぁあああああ”
 
 万策つきたと思っていた子音であったが、古風な女生徒に言われたことは僕の想像の斜め後ろにいっていた。
「いいわ〜、そのアホキャラっぷり」
「は!?」
 僕は自分が宇宙人というのをバレないのを取るか、プライドを取って宇宙人と信じさせる証拠をみせてこの古風な女生徒を消すかで頭をかかえて迷うことになった。

「ウフフフフ〜!宇宙人〜♪ 変態くんはアホな野郎〜♪」
 古風な女生徒が創作で即興の歌を作って僕を小馬鹿にしているように感じた。僕の我慢の限界が近づいてきている。
「フフ……ここまでバカにされたのは初めてだ…」
 僕は独特な不気味な雰囲気を出して古風な女生徒に警戒した。
「分かった……キサマには特別に教えてやるよ、よく聞け地球人……私はエージェント<SION>正真正銘外宇宙からの侵略者だ!」
 
 子音は未だに古風な女生徒とのやりとりをずっと見ている二人の女子高生に気づいていない。
「侵略すんぞコラァー」
 見ていた女子高生二人は
「なんか楽しそうだねぇ」
「ああいう子と付き合うのは大変だよ〜」
 白髪女子高生の意見に黒髪の友達が冷静に返した。

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