小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 古風な女生徒が全く動じている様子もなく、僕に宇宙人だと証明できるものを確認してくる。
「仮に変態くんが宇宙人だとしてその証拠はあるのかな?」
「あぁ?」
 怒りで声が荒くなった僕だったが、古風な女生徒の意表をついた行動に動揺させられてばかりだ。
「例えば身体能力とかだな……宇宙人なら何かが生えていたりする」
 僕の着ていたジャージのズボンを少し下ろされた上に、古風な女生徒は子音のジャージに顔を突っ込む。
「んなーっ!?」
 
 ジャージズボンの中に顔を入れたまま古風な女生徒が見たままを話す。
「OK OK 残念ながら生えてないけど」
 顔をジャージのズボンにつっこんできた古風な女生徒の行動は十分セクハラな気がするが、そんなことをされて恥ずかしいという気持ちの方が勝る。
「やっぱりアナタ変態くんよ〜、パンツはいてない」
「うわわわわわわぁぁぁぁぁ」
 
僕は古風な女生徒を興奮させてしまったようである。やはりそう簡単に癖というものは治せないみたいだ。母星では下着を身に付けないのが普通だったから違和感も感じてなかった。この星に順応している今は恥ずかしくて仕方がない。


 古風な女生徒に辱めを受けさせられた僕はこいつは危険人物だと思ったので意地でも自分のことを宇宙人だと認めさせようとする。
「こっ……こうなったら取っておきを見せてやるわい!」
 僕はジャージズボンのポケットから宇宙船を呼ぶためのリモコンを出すと、古風な女生徒が恐れおののくのを期待しながらここへ呼び寄せた。
「フフフフフ、フフフフフフフフフフ。これで……分かっただろ」
 
 僕の頭上に正真正銘の宇宙船が飛んできていた、大半の人が僕の姿を見て許しを請うような表情になっている(パニックにならないのはこの高校一帯の人物はこの瞬間だけ感覚麻痺させているから)
「うむ、これは凄いラジコンですな! スゲー!」
「え――っ!?」
 宇宙船を見た古風な女生徒は見上げながらも本物だと認めていない。ここまでして信じないこの人物を、僕はあり得ないという眼差しで見つめていた。

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