小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 ある日、ニーAでほっぺたを抑えて痛そうにしている真坂。
「うわっ、どうしたの虫歯?」
 茶色の髪で母性が強そうな陽菜という級友に心配された真坂(陽菜の席は真坂の後ろ・ゆかりの隣)
「う゛〜〜昨日抜いてもらったんだけど・・・」
「結構腫れてるよ?」
 陽菜の心配に心配になった真坂。
「ほっ、本当!? そんなに腫れてる!?」
 
 話の流れで陽菜がゆかりに同意を求めているのに今、気づいた彼女。
「元の顔、覚えてないから解らないけどね」
 冗談なのかもしれないが、冗談に聞こえないゆかりのどうでもよさそうな感じに場の空気が凍りつく。
「腫れてんじゃないのー?」
 どうでも良さげな表情のゆかりを見た真坂は悲しそうである。
(あたし達、友達だよね!?)
 陽菜も「それはないでしょ」と苦言を呈したそうだが、ゆかりは全く気に留めていないみたいだ。

「ゆかりちゃんって私のこと嫌いなの?」
 さすがにさっきのゆかりの態度に傷ついた真坂。聞きづらいことではあるが、これからもゆかりと付き合いたいので勇気を出して尋ねた。
「は? 突然どうしたの?」
 ゆかり的には特にいつもと真坂への態度と変えているつもりはないので反応に困る。

「だって私へのツッコミが全体的に酷いから」
「何それ」
 真坂を傷つけないようにどことなくいつもよりツンツンした表情より柔和な笑みで応えた
『大体っ!!』 「嫌いなら一緒にいるわけないでしょ」
「ゆかりちゃん」
 真坂はゆかりの本心を聞けて安心感を得る。思わず感涙してしまうくらいだ。
「真坂で(!!) 遊ぶときが私は一番楽しいんだから!」
 ゆかりは言わなくて良さそうなことまで言わされた感があるので黙って教室から去っていく。(何、言わせるのよまったく!! という心境なのかもしれない。 

 真坂は嬉しい反面、ゆかりのセリフの一部が気になった。何かが引っかかったような感覚を覚えたが、多分気のせいだということで真坂は考えるのを放棄するのであろう。

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