小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 『川合さんとクソ虫君』

 ある日の通学路にて川合さんの噂をする近隣の高校に通っている女生徒達によると――――
「川合さんがSPを連れてきたわ! 金持ちねぇ〜」
 黒い髪で丸っぽい顔、大きな瞳が印象的な黒髪生徒が友達の水色の髪で背の高い少女に語りかけた。
「見て見て!警戒しているわよ!カッコイー!!」
 水色の髪の少女が言っているのは川合さんの隣で周囲の危険を未然に防ごうとしている黒服サングラスの男のことだ。
「色川さん、素敵なSPね!」
 水色の髪の少女に話しかけられた川合さん。いつもの変わらぬ日常なのか金髪でエレガントな雰囲気の川合さんが間違いを正す。
「違うわ、やせるツボを押してくれる人よ」
 黒服サングラスの男は何故か必要以上に周囲を見渡している、小心者なのかもしれない。
「警戒しているのはただの性格よ」
 川合さんが口元に手を当てて控えめに笑っている。横でSPっぽい人が黒髪と水色の髪の少女達にふざけで殴られているのを気に留める感じがないので、川合さんにとってそのSPっぽい人はどうでも良い存在だったのかもしれない

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