小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 道の真ん中で他の人が通ると端によけるなど遠慮してしまう気の弱い僕だけどイヤホンをすると気が大きくなる。周囲を気にすることが減るからかな?
 大きな駅というわけではないが、駅周辺中心に発展している学生街にいる僕。気分が乗ってきたので大学生風の女性をナンパしようとか考えてしまった。
「くぉるあああーっ!!」 
自分で入れたとはいえ、舌を巻いてドス声を発しているヤクザ声に思わず謝ってしまった。

「ごめんなさい――――――!!!」
 気が大きくなって強そうな不良に絡んでしまったことのある僕。
「身の程知らずがー!!」
「すいませんでしたー!!」
 そうでもしないとまた同じ愚行を繰り返すこと恐れがあるからだ。
「てめえのあだ名を言ってみろー!??」
「クソ虫ですぅぅぅー!」
 さすがにある程度人通りのある駅前なので好奇の視線が集中がそれも自分の保身のためなら仕方がないと割り切っているので、後は通行人の視線に耐えて気持ちが落ち着いたら帰るだけであった。

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