小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 タメ息を一つついて穂乃がネガティブ発言をする。
「……というか私も今年で三十になるんだよね〜、もう女としては下り坂じゃな〜い……」
「そんなことないっ!」
 私はそんな穂乃の意見にかみつく。

「三十歳から女盛りって言う人もいるし! 三十歳でグラビアアイドルをやっている人だっているわ!! まだまだこれからよっ!!」
 自分でも驚くくらい玖林は熱弁した。熱弁をした私に穂乃が呆気に取られていた。沈黙の時間を重く感じる。
「……でも四十までに子どもを……初産だと辛いって聞くし……」
 私は穂乃が聞いてくれていると思うが、沈黙のプレッシャーに負けて独り言のように人生設計っぽいことを口にするのであった。


 夜霊(ミッドナイトゴースト)は名前の通り、夜〜夜中になると現れる。私の仕事の時間は夜中〜明け方ということになる。毎日のように夜霊と戦うと疲れで万年床状態と化している布団にバタンキューだ。 穂乃はもちろん会社勤務に行っている。しかし私は近所の小中学生が「おはよー」「おはー」との時間はしっかり寝て英気を養うしかないのだ。

 私は夕方の十六時前後の小中学生達が「ゲーセン寄っていかねーか」「こんにちはー」という時間帯にもまだ眠気が取りきれない。魔法元少女の力を使うとなかなか疲れが取れないのが理由である。
  穂乃が帰ってきた時にやっと起き上がるのだ(十八時くらい)そんな生活なので隣の家のおばさんは私をニートだと思っているのが何となくわかった。
「あなた達はどうして現れるの!? ボスはいるの!? どうすればこの戦いは終わるの!?」
 
 私は最近嫌気がさして…というか、気が立っていたので言葉が通じそうにない夜霊に疑問を投げかけたことがある。
 今日は夜中の公園に出現したのであるが、私の声に反応したものの、「?」って感じで意味を理解してくれていないように見える。

「バカー!!!」
 今日の玖林は夜霊を魔法を使って一瞬で片付けた。……誰か教えてください……。


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