ある日、穂乃が興味を持ってステッキを手に取った。
「このステッキで変身するんだよね。私でも変身できるのかな〜?」
「やってみる?」
興味があるのならと玖林は快く教えることにする。
「リーム・ベート・リピーリッピヘア・ティヒーフ・メルヘン・トメーヘン! この呪文を唱えながらこうポーズを決めるのよ。はい、やってみて!」
穂乃にポーズを伝えるために右足を左足のヒザにつけて両手を逆「く」の字に私はした。穂乃がそれを見て長考している。
「あ〜……私には無理みたい……いろんな意味で」
このポーズのせいか何なのかわからなかったが穂乃のやる気が減っていく。
「いろんな意味で!?」
じゃあいつもこれをやらなければいけない私の気持ちは? とかいろいろと否定された気持ちになって玖林は衝撃を受けた。
私は星霊ルタインに魔法少女にされて三ヶ月くらいの時期に、私が選ばれた理由を聞いたことがある。
「……ねえルタイン。どうして私が魔法少女に選ばれたの?」
「………」
その時点では理由があって話せない旨を伝えられてはいた。
「……ゴメン玖林、今はまだ話せないんだ。いつかその時が来たら話すよ」
二十年前のあの時から数年間は夜霊の大量出現のせいでその話にまで気を回す余裕がなかった。 夜霊が一日一〜二回しか出没しなくなった頃でも疲れで寝てしまう日が続いたせいであれよあれよという内に二十年経過していて星霊ルタインがボケてしまっているのでもう真相はわからない。
「ごはんはまだですか?」
(「いつか」って」いつだよ……)
私が謎に思っていることは永久に謎のままなんだろうな。