小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

 洗濯物にアイロンをかけながら穂乃が他にも疑問に思っていることを聞いた。
「そういえば玖林ちゃんの他にも魔法…少女はいるのかなー?」
「さあ? 私は聞いたことないけど……」
 休みの日に穂乃と話している時間は貴重だ。どんな内容だとしても。
「もしいたら会ってみたい?」
「うーん……」
 聞かれた私は想像してみた。仮にいて会ったとしたらこんな状況になるんだろうなと容易に想像できる(小中学生の中に私のような人がいたら注目を集めて遠巻きにされそう、または気を遣われまくるとか)
「……会いたくない……! 絶対に!!!」
「?」
 被害妄想かもしれないが一番有り得そうな展開を予想して玖林は体を震わせながら叫んでしまうのであった。



「うわー、何だコイツは!?」
「キャーッ!!!」
 たまには夜霊(ミッドナイトゴースト)とはいえ、サラリーマンやOLの帰宅時間に現れることもある。
「レーザーメーゲン」
「!?」
 そういう時は一撃必殺の複数束になる光線ですぐに消滅させることにしていた。

「あ……あれは……?」
 若い会社員が空を見上げる頃には、玖林はすでに目撃されないようにその場を素早く後にしていた。お約束の魔法少女はその正体を知られてはならないというやつである。私的にはそれ以外の理由もあるが。
(いい年してこんな格好しているのを見られたら……もう表を歩けない!!)
 私が独白しているのが全てだ。もう察して欲しい、いろんな意味で……いろんな意味で!

-91-
Copyright ©下宮 夜新 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える