小説『君が死んだ日【完】1000hit達成!!』
作者:ハル()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

帰り、咲と一緒に帰ろうとしたけど委員の仕事の話し合いがあるから、と断られてしまった。
半分残念だけど半分妙なむず痒さを抱えている自分に気がつく。

きっとさっきの女の子たちの言葉が頭にまだ焼き付いてるから。
心配だったのだと思う。
自分が咲と2人っきりになったとき、その出来事を話せば何かしら自分たちの間で変化が起きてしまうんじゃないかと。
ただ、びくびくしてる弱い虫なだけ。

(別に、気にしなければいいじゃない。そうだよ、うん・・・・・・)

と、言い聞かせてみてもなかなか不安は拭えない。
喉の奥に何かが詰まったような気分だ。

なぜか自分がめんどくさい人間に思える。



―――――――――――・・・

次の朝、寝起き同様のボーッとした状態のまま学校に着いた。
朝は苦手・・・。

あくびをしながら階段を一回り上る。
途中踏み外しそうになったけどなんとかこらえた。
よし、エライぞ自分!

教室まであと数メートル。
がんばろう。


ビリッッッイィ

空き教室の方から紙をちぎる音がする。
なんだろうと思い、空き教室のドアを開けた。
中に3人いる・・・女子?

「ねーだれか来たよ」

「えっ! あれ?」

「なんだあ香奈ちゃんかーびっくりしたー」


その3人とは、紛れもなく昨日の女子たちだった。

「あ、おはよー・・・。なにしてるの?」

心臓がドックドクする。

「んっとね。いいこと」


そう言って茶髪をウェーブさせている女子がそれを見せた。

「え!」

差し出されたのはノート。
中身は随分とビリビリにせんぎられている。
異様な光景にまさかこれ、と不安がつのる。

「だれのノートだと思う? 香奈ちゃん」

にやりと意地の悪い笑顔で彼女は聞いてきた。
あたしはこのノートの持ち主が誰なのか察しが付いた。
でもとぼけておいたほうがいいかもしれない今は・・・。

「だ、だれの?」

3人はくすりと笑い声をそろえていった。


「寺田咲のでーすっ!」


(!)

咄嗟に驚くふりをした。
内心、察しがついていたため意外と驚かなかったが喉にずしりと妙な苦重さを感じた。
キモチワルイ。

「もっとせんぎっちゃおうよ!」

「だねー使えないぐらいにさあ」

「あいつ授業中パニックになりそー」

キャハハハと高く笑い出す彼女たちが見苦しかった。
でも一番見苦しいのは。

咲のことより自分の身を優先して彼女たちに「やめなよ」と言わなかった自分。

ドロドロと色が変わっていく。
視界の景色が、すべてがキモチワルイものに見えてくる。


この日からbadへの終わりは始まっていた。

-106-
Copyright ©ハル All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える