そしてまた、いつもと変わらない日常が巡ってくる。
一方的なリズムを醸すソレはずっと続いていくんだろう。
俺は柄にもなく、そんなことを考えていた。
畳にゴロリと横たわっていると庭から見える空は雲ひとつない青空を見せびらかしている。
今日はやけに天気が良い。
(・・・そろそろだな・・・綾乃)
口にくわえていた煙草を灰皿に潰しながらふと、思ったのだ。
――――いい機会だ、区切りをつけてしまおう。
と。
香奈に助けられた自分がやけに子供に見える。
まさか年下に命を助けられるなんてな、アイツは予測不可能な奴だ。
「ククッ」
笑みがこぼれる。
俺を゛好き゛という一心でここまでやれる人間なんてなかなかいない。
不思議な奴だ。
(好き、か・・・)
香奈に言われた言葉が耳に少量残っている。
俺のような人間が好きと、アイツは言った確かに。
随分な物好きとしか思えない。
そして言われた本人の自分はまだハッキリとした返事を出していない、曖昧。
今も曖昧、だから前にも後ろにも進めない状態なわけ。
と、耳を澄ますと聞きなれたリズムのある足音が飛んでくる。
今日は平日だから学校帰りか。