小説『君が死んだ日【完】1000hit達成!!』
作者:ハル()

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数え切れない墓石に日差しが当たり、反射した光が揺らめいている。
空は吸い込まれそうなぐらい青くて、自分たちのちっぽけさを思い出させてくれる。
道端に生える草は青々としていて汚したくないくらい綺麗だった。


こんなふうに自分たちの心も綺麗だったらどんなにいいだろう。
そんな幻想を浮かべて歩いていただけ。


決着がつけられたかというと嘘になるのだろうか。
いいや、今はきっと、曖昧な本当なのだろうと自分に言い聞かせた弱者が2人。

その2人はどちらも学生という部類の人間、1人はある事でひねくれてしまった青年、もう1人はある事で後悔をしょった少女。

過去を振り返ってみれば、彼ら2人が出会えたのは奇跡的なことでした。
だって数秒でも遅れていたら2人は現在こうして、並んで歩くことも出来なかったのですから。


これはそんな嘘みたいな(ヒツゼン)のお話―――


もし、2人が出会っていなかったならば、彼らはとっくのとうに世から出て逝ってしまい、自分たちが抱える現実と決着をつけられなかったことでしょう。


それはそれで彼らにとって良いことでもあったのかもしれませんが。
何が良くて悪いかなど、他人にはわからないのです。ただそれだけのこと。
散るも生きるも彼らの自由でした。

ですが、それでも彼ら2人は生きることを選択した、それが成り行きだとしてもそう選択をした。

もしも違う選択をしていたのなら、今こうしてこの場に立っていることも喜怒哀楽を出すことも少しばかりの決着をつけることもできなかったのでしょう。

まあ、結局のところ何が正しくて悪いのかなんて決められません。
曖昧なのです。





・・・それでも、その少女と青年が選択した答えは悪くないと思いますよ



と、どこかの誰かがそう思ってくれたなら彼らは 無駄 な選択をしたわけではないのかもしれませんね。




無駄ではないと願いたいものです。



これは少女と青年のあるお話。



おや、彼らの足音が近づいてきましたね。

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