小説『君が死んだ日【完】1000hit達成!!』
作者:ハル()

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霊園の出口へと続く曲がり角、そこに矢木矢さんがいた。
どこか、雰囲気が変わったような気がするのは気のせいなのか。


「・・・矢木矢さん」

「あぁ・・・」


脱力感が自分を被ってしまう。
矢木矢さんはだるそうにゆっくりと芝生にしゃがみこみ、あたしもつられるようにそうした。

太陽が眩しくて青が広いから、涙が出そうになるじゃないか。
こんなに無常になるなんて思いもしなかった。
決着をつければ少しは晴れ晴れとなるかと思っていたけど、余計に悲しくなって涙が出てくる。


「―――くっ・・・っ」

鳴き声が微かに漏れてしまい、矢木矢さんが反応してこっちを見る。


「思い切り、泣け」


(ああ、あたしたちおあいこだ)


そう言ってくれた矢木矢さんの目には涙が溢れんばかりに溜まっていたから。

「・・・はいっ」


イジメ、犯罪、不幸、大切なものを失ってしまった。愛する人と大切な人、もう・・・会えない・・・の?
そう思うと涙が広がっっていった。


「うっ、あ・・・ひっひっひっく・・・会い、たっいよ。咲に、あっいたっいよ、矢木矢さん・・・」

そんなあたしの背中をただ、ポンポンとたたく矢木矢さんも涙を浮かべては流していた。
本当、おあいこすぎるよ。


ちゃんと前を向かなきゃ―――。


霊園の中でしばらく2人は声が枯れるぐらい泣いた、その中にはどこか暖かなものがこだましていた。


きっと2人の大切な人も見ていたのだろう、空の青から・・・。


どうしようもなく、投げることができない訴えを泣き叫んでその悔しさが一時は消えて、それでもそれはいつまでも残り続ける。



今日も、限りのない悔しさがあたしとあなたの隣にいて心を傷つけるけど、色とりどりの思い出が胸の中につまってるから押しつぶされずに今を歩けるんだよ。


それでもまだ過去との決着はつきそうにない、もしかしたら一生つかないかもしれない。

でも、ずっとまとまりのつかなかった黒の部分が今ははっきりとした光を描いてる。きっと無駄なことなんて一つもなかったんだ。



――――今だからこそそう思えるの。


「矢木矢さん、そろそろ帰りますか?」

「そうだな。じゃあ行くか」

「はいっ!」




君が死んだ日

敗北のような苦味を覚えたあの時、君はもういなかった

一秒一秒のなかで君と過ごした記憶を思い出すと泣き崩れたあの日

どうしようもなく前が見えなくなった時、必然のように出会ったのは傷を抱えた同士

何度も壁にぶつかって困難を乗り越えられたあの日を忘れない

あの日があって今の自分がいるから







「矢木矢さん! バス来てますよ!バス!」

「うわっ! 走るぞっ」







天国の君へ

あたし、俺、は少しは成長できたかな?


もしそうなら、また君に逢える日が楽しみです。




[完]

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