「気分はどう?」
なぜ、どうしてあの人が…?
そこにいたのは、屋上であたしにセクハラ発言を躊躇なく言ってきた破廉恥人間だった。
「…なんでここにいるんですか?」
「ここ、俺の家だから」
―――――はい?
えっ? 今この人この家のこと自分の家だって言ったよね?
でも何であたしこの人の家にいるの?
わからない、全く。
「なんか混乱してるみたいだけど、まぁ仕方ないか」
腕組みをしながら柱に寄りかかり気だるげにあの人は言う。
「仕方ないって何がですか?」
「…なにも覚えてないらしいね。無理もないだろうけど。君があの屋上からこの家に来るまでの時間、君は見事に気絶中だったからね」
「き、気絶中ですか。えっえっ? いや、でもあたし屋上から落ちてて…」
「俺が助けた」
助けた?この人があたしを?
「どうしてあたしを助けたんですか…?」
「君が死にたくないって言ったから助けただけ」
「…あなたって言動に寄らずいい人なんですね」
「いや、俺はそんな良い奴じゃないから。君があの時死にたくないって言わなければ俺が君を助ける事もなかったと思うよ?」
「じゃあ 言わなければよかったのかな、゛死にたくない゛なんて」
「何があったんだよ」
「え?」
「なんで自殺したいって思ったわけ?なにかあったんだろうけど」
「っ、言いたくないです。見ず知らずのあなたになんて言えないし」
「ふーん。じゃあ君がそのことについて触れるまで待つとしましょう」
「そうしてくれると助かります」
「そりゃどうも」
「…気になってたんですけどあなたってあの屋上からこの家までどうやってあたしを連れてきたんですか?気絶してたら自分で歩けないし…」
「…おんぶ」
「ワッ ワンモータイム…」