行きついた場所は大きなホールの中。
バーのような雰囲気をもつ場所だった。
大きな舞台に目がくらみなぜだか圧倒されてしまう始末。
それに来たのが早かったせいかお客さんは少なかった。
休みがてらに客席に矢木矢さんと座り、マジックショーが始まるのを待つ。
でもなかなか始まらないから退屈だ。
「矢木矢さーん」
「何」
「退屈です」
「…大丈夫。もうそろうるさい奴が来るから」
「え、誰かもう一人来るんですか?」
「違う」
「じゃあ誰なんです?」
「説明するのめんどいから黙って」
なんてぶっきらぼうな男だ。何がめんどくさいだ、そのぐらいの返事。
『矢木矢はそういう奴だから許してあげてね』
「えー そんなぁ…って、え? あなた誰ですか?」
『さぁ、だれでしょうか?』
「こいつがうるさい奴だ」
矢木矢さんが目を細めてめんどくさ気に言う。
『ちょっとちょっと、なんだようるさい奴って〜』
「おまえの事だ」
どうやらこの2人が知人であることはわかった。
それになんだか仲良さげだ。
誰だ?この人。