―青い瞳、黒い瞳―
ガタンッ
廊下に設置してある自販機がそう言った。
細い、白い指が出てきた缶ジュースをつかむ。
窓から降るぬるい風でなびく髪は黄色くきらめいていた。
なぜだか少し、少しだけでもいいから、その髪に触れたいと思ってしまう。
ここで触れたら確実に不審者だからやめとく。切実に。
「ごめんね、呼び止めちゃって」
ハスキーな声が頭上から降ってくる。
視線を上にかたむければ美しい美女アシスタント。
青い瞳が宝石のサファイアみたいだった。
「いえ、大丈夫です」
その瞳を物珍しげにジッと見てしまうあたし。目が離せない。
「そんなに見られると照れちゃうな」
頬を薄ピンクに染めて恥ずかしげに笑うこの人。
その表情からは幼さが残った可愛さがあふれていた。
「すみませんっ! ところであのー…あたしになにか?」
そう聞いた後、美女はあたしの座っているソファの隣に座り、取ってきた缶ジュースをあたしに渡す。
そして美女はこうきりだした。
「幸也の事は…あいつがどういう奴かはもう知ってるでしょ」
鋭い眼差しで青い瞳があたしに問う。