「どうしたんですか?」
「…っっ 言いたくない。言うと余計イラつく」
「そ、うですか」
今なぜか、ドキッとしてしまった。
矢木矢さんの少し困った顔に。
普段あなたはそんな顔しないから、かわいいななんて思ってしまった。
あたしギャップに弱いみたい。
「どうした?」
「いいえ、フフ」
なんか嬉しい。
矢木矢さんの、あなたの違う顔を見れたからよかった。
つい、笑っちゃった。
「おまえニヤニヤしすぎてリアルにやばいぞ」
心配、気持ち悪い、そんな感情が混ざったあなたの表情。
「…あたしはいつもやばい女なんですよっ!」
開き直りだ。
「へ〜え 自覚あんだ」
いつもの、あなたがいる。
S男のあなたが。
ピピッピッ
携帯の…音
それをとる矢木矢さん。
「もしもし、はい…」
電話をしているあなたの目が曇っていく。
悪い方向に暗く。
「…もう、いいですよ。あれから3年絶ったんですから、手遅れですよ」
3年? 手遅れ?
矢木矢さん、なんでそんな悲しい顔するの?
ピッ
電話を終えた矢木矢さんは目が電話をとる前と少し違かった。
潤んでた、黒い瞳が。
その潤みは月の光のせいですか…?
それとも…
「おまえ先に帰ってろ」
潤んだ瞳。
やっぱり、それは月の光のせいじゃないのですね…
「…嫌です」
初めてあなたに反抗した。