―――そして時がたつ。
俺が風俗のバイトを初めてから一年たった。
きつい仕事に少しずつ慣れだした頃には自分の予想以上に大金があつまっていった。
もうバイトなんてしなくていいぐらい。でも辞めなかった。辞められなかった。
バイト先では月が変わるとそれぞれの順位が知らされる。
指名率が多いほどいい成績になる。
20位中1位
バイトを始めてすぐに1位になってしまった俺。
一年経った今でも1位をキープしている。
その優越感がなんとも言えないくらい心地よかった。
金はたまっていくし。こんな幸せはない…!
金銭感覚が酷く危うくなったのはそのときからだ。
確実に俺はおかしくなっていた。
そんな時、綾乃に会ったんだ。
俺の愛した人。
最初は不思議な奴だった。
突然俺にイケメンさんだねーなんて言ったり、変な奴だなって言ってやればそーなんだよねーって、怒りもしないでニコニコ言うし。
いつも笑ってて悲しそうなところを見たことが無くて…。
…きっと俺は彼女に救われたんだ。
あのままだったらきっとまともな道に進めなかったかもしれない。
綾乃の存在がたまらなく愛しかった。
店長に、バイトを辞めたいと話したのはそんな時だった。