―電波線より遠く―
「…な、なんなんだよ……ふざけんなっ…!」
俺が彼女の家にたどり着いたときには、この空間はもぬけの殻と化していた。
「あ、ああぁ、あ…」
強引に開けられ亀裂の入ったドア、玄関には散らばった靴、壁に貼ってあったポスターは床に落ち、靴のあとがくっきりと。
愕然としたよ、その光景を見た瞬間なんで自分じゃないんだって何度も思った。
綾乃は関係ないのによ……!
家の中をどれほど探したって綾乃はいない、それどころかだれもいない。
いないいない、カラなんだから。
この家に、用はない。
時間稼ぎをさせてはならない。
「―――――あいつらっ」
許さない許さない許さない。
―風俗、店長……
携帯の中からソレの番号を探す。時間が無い。
見つけ出すと同時にソレを打ち込み―――発信。
……………。