数秒の沈黙のあと。
「もしも〜し」
店長のアニメ声がした。
「……あんた、やっただろ」
「ハァっ? 突然何言っちゃってるの〜」
とぼけた声が耳に一直線に入ってきてウザかった。いっそのこと絞め殺したいぐらい。
「赤茶色の髪の毛の女、拉致ったんだろ」
「だとしたら――?」
サーッと体中の血の気が引く。
こいつっ。
「ふふ、案外気づかれちゃうの早かったなぁ。ざーんねーんっ!」
嬉しそうに声のキーを上げて店長は続ける。
「今更恨まないでねー? だぁって私は君に言ったはずだよ、風俗辞めんならそれ相応の見返りをしてもらうってねっ♪」