小説『データ・オーバーアライブ』
作者:いろは茶()

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第二連絡橋 真下 窪地

再開した途端、まず一発本気で(木刀を行使して)顔をぶん殴られた。
そしてその後に、本気で背中を叩かれた。
『新型』アンドロイドから一時的に退却してきた霧斗を待っていたのは、そんな感じの出来事だった。

拾い集めてきた枯れ木を焚火の中に放ると、火勢が息を吹き返し、狂乱したかのように落下した遮蔽物のあちこちにオレンジ色の火花を散乱させる。

窪地の中央に作られた焚火の近くに、あすかはいそいそと座り込み、

「早く座って。学生向けのキャンプじゃないんだから。背中に張り付いて手取り足取りやる時間はないわよ」

という訳で、小さい焚火の周りに、霧斗、大村、渦巻、栞、日村、高杉、松山の七人が座り込む事になったのだが、

「ふにゃあ」

呟いたのは超童顔少年・大村だ。

なぜか彼は、忍者少女・栞の膝の上に腰を下ろすと、

「お、酒」

とだけ言ったのは良いのだが、再度暗示にかかり泥酔してしまったのか、十五秒でさっさと眠ってしまった。

あすかは適当にため息をついて、

「話を聞く準備は終わった?」

「……これが何の準備になるのかは知らんが」

栞はずり落ちそうになる大村を軽く支えながら、(しっかり後ろからきちんと抱きしめて悶絶しながら)そんな風に答えた。

あすかは気にせず、

「それじゃあお待ちかねの説明タイムと行きましょうか」

言いながら、少女はわずかに霧斗の方を見た。

新入りの少年。

ともに体験した出来事を知りながら、しかし語るのはあすかだ。

「あなた達ともに無関係じゃなくなった……『新型』についてよ」

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