しばらくして意識が回復すると少年の瞳がゆっくりと開かれた。
彼の目がとらえたのは木製の天井。
天井の中央付近に大きな照明が取り付けられていて、この部屋全体を明るく照らしている。
どうやら自分はまたどこかで寝かされているらしい。このシュチュエーションはこれで何度目になるだろうか。
時間がたつにつれ少年の思考が徐々に回るようになっていき、そこでようやく近くで複数人の若者たちの何やら話していることに気が付いた。
最初に知らない男の声がする。
「そうだなーじゃぁ、これはどうだ?『死ぬのはお前だ反逆者』!!」
「なんか私達のこと言ってるみたいじゃない!!」
すかさず、その発言を割り切るように少女の声が飛んできた。
知っている声だ。
少年は寝かされていたソファーから上半身だけ静かに持ち上げると、少年少女たちに声がした方向に視点を移動させる。
「いや、相手はもちろんあのロボットだ!」
「じゃぁ、一回こっち向きなさいよ。」
一人だけ校長の机に座っていた少女の指示に、細い木刀を腰から下にさげていた男は黙って従う。
そして、座ったままの少女は両腕をクロスさせ、腕を組む。
一瞬の間、そして少女は一泊開けて強烈な毒舌を吐いた。
「死ぬのはお前だ反逆者!!」
「ううっ、やべぇ。確かになんか傷つくわ」
男は思わず胸を押さえて一歩後ずさる。
「はぁ…ほかには、なにか案はないの?」
その言葉を合図にこの部屋中に散らばっていた同じ年くらいの若者達が一声にその声を上げ始める。
次に案を行ったのは壁際でその話を聞いていたあの薄紫色の髪をした少年だった。
「これカッコよくね?『死ねぇ!反逆者ども』」
「それ同じじゃない!!」
次に口を開いたのは力士並みの大男だった。
「じゃぁ、これでどうだ!『消えたい反逆者』」
「死ぬ気満々じゃん!!」
さらに小柄な少年の声が。
「ならこれでどうかな、『絶対無敵艦隊』」
「今度は反逆者じゃなくなってる!!」
さらに机に腰かけているピンクの髪をした少女の声が。
「『絶体絶命の反逆者』」
「絶体絶命じゃないッ!!」
一周して、また木刀を装着している男に戻る。
「『玉砕の反逆者』!!」
「殴るわよ」
ものすごく冷たい言葉を浴びせられた男を余所に、その隣では眼の位置まで髪が伸びた赤バンダナを頭に巻いている特徴的な少年がミュージックプレーヤーを片手に永遠とリズムを刻んでいた。
そして最後に、
「『鑑真(がんじん)!!』」
「大喜利かッ!!」
そう言って少女から顔面チョップのくらったのは薄紫色の髪をした少年だった。
その顔は真っ赤に腫れ上がり、彼は顔を伏せて何やら泣き言をぼやいていたがついに立ち上がってしまった少
女はそれを無視してきっぱりと宣言する。
「もう、最後は『反逆者』なのッ!これは譲れないわ!!」
さらに少女は前でしくしく泣いている少年にくるりと背をむいて続けた。
「私達はこの戦場の第一線にいるのよ!もっとましな案はないの!?」
その時だ、不意に小柄な少年が何気なく声を出した。
「ねぇ、その人もう起きてるんじゃない?」
その言葉にこの会話の指揮を執っていた少女は、ソファーで気を失っていると思っていた少年の方に振り返る。
「ええ、あぁ気が付いた?」
De-tao-ba-araibu9 end