◇ ◇ ◇
「えーっと水道、水道・・・あった」
それは病院の中でも奥まったところにあり人通りが少なく薄暗い。
病室の中にも水道はあったのだが女同士で話し合いたいことなんかもあるんじゃないかと気を回したのだ。
「何か出そうな所だな・・・」
花瓶の中の水を捨て新しい水を入れる
「うぅ、冷たい・・・・・・?何か落ちてる 写真か」
それはどこかの公園で撮られた男女三人の写真だった。
それぞれ頭の上に『ヤヨイ』『シノブ』『カイト』と名前らしきものが書かれている
「大学生かな・・・楽しそうだな・・・・・・!?」
写真を眺めていると背後に何かの気配を感じた。
くしゃっ ついポケットに入れてしまった写真がそんな音を立てる。
病院、人気(ひとけ)が少ない、そして薄暗い、
しかもここは水場だ何かが出るにはうってつけの場所である。
正直かなり怖い、
しかし怖いと思いつつも好奇心に駆られている自分に呆れてしまう。
「・・・・・よし」
小さく呟き勢いをつけ一気に振り返る
「あっ」
思わず息を飲む―――
清潔そうな青い病院服から覗く白い肌
今は無造作に伸ばされたかつて美しかった筈の髪
深い悲しみを宿した虚ろな瞳
そして細い首に巻かれた白い包帯
―――『ヤヨイ』と書かれていた写真の女がちょうど角を曲がって行った。