小説『ゼロの使い魔 世界を渡る転生者【R−18】』
作者:上平 英(小説家になろう)

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『第18話 原作4巻開始 タバサの里帰り 前編 』





 ゲルマニア皇帝とトリステイン姫殿下の婚儀は、アルビオンの宣戦布告から始まった戦争により無期限延期とされた。

 そしてその後、アルビオンからトリステイン領土のダルブを攻め落とし、ダルブの草原を中心に展開したアルビオン軍とトリステイン軍が睨み合い。

 トリステインの秘密兵器を使い。数で勝るアルビオン軍を打ち破ったアンリエッタは国民に『聖女』と崇められ、戦勝パレードが終わると、母である太后マリアンヌから王冠を受け渡され女王となった。

 更にアンリエッタは女王となったことで、同盟を結んだまま、ゲルマニア皇帝との婚約を解消した。

 以上が、オスマンが学院で公表したダルブの草原で起きたアルビオンとの戦争だった。

 うん。秘密兵器を使って勝ったと言う事は、二人とも無事らしいな。ルイズも虚無に目覚めたし、俺が物語に登場してるからどう変わるか不安だったけど。きちんと原作通りだな。











 才人とルイズがゼロ戦と虚無について王宮に呼ばれていた頃。

 他国の戦争と学生の身分だという事で、キュルケはいつも通りの学院生活を過ごしていた。

 そんなキュルケはいつものように、タバサの部屋に遊びに行き、タバサが荷物をまとめているところを発見した。

 そして旅行に行くの? と尋ねた。タバサは実家に帰ると答えた。いつもの無口なタバサであったが、その様子に感じるものがあったキュルケは自分も授業をサボって、ついて行くことにしたのだ。

 キュルケは急いで部屋に戻り、ルシファーに説明し、荷造りを済ませ、学院に署名入りの休暇願いを出した。

 その後。タバサの実家から馬車が派遣されてきた馬車に乗り込み、タバサの実家に出発したのであった。

 3人は馬車に揺られて、魔法学院から延びたが街道を南東へとくだっていた。キュルケは窓から顔を出して、きゃあきゃあ騒いでいる。

「タバサ、ダーリン、ほら見て! すごい! 牛よ! 牛! ほら! あんなにたくさん!」

 街道のそばには牧場があって、牛たちが草を食んでいる。

「草を食べている! もー、もーもー」

「ああ、可愛らしいな」

 ルシファーは珍しいキュルケの様子を暖かな眼差しで見つめた。

 だが、タバサはと言うと黙って本を開き、同じページばかりを眺めていた。

「ねえタバサ。せっかく学校をサボって、帰省するんだからもっとはしゃいだ顔をしなさいよ」

 キュルケがそう言っても、タバサは答えずに、じっと本を見つめている。この3つばかり年下の友人は、ほんとになにを考えているかわからない。キュルケは、ちょっと探るような口調で言った。

「あなたのお国がトリステインじゃなくって、ガリアだって初めて知ったわ。あなたも留学生だったのね。それで、なんでまた、トリステインに留学してきたの?」

 しかし、それでもタバサは本を見つめたままで答えない。キュルケも諦めてそれ以上聞くのをやめた。

 それよりも、キュルケはタバサの様子とこれから向かう先に待つ。アルビオンのトリステイン侵略に対して、中立と沈黙を保ち、トリステインからの同盟参加への申し入れを無視したガリア王国に向いた。

 学院をサボって観光気分だったキュルケだったが、タバサの実家がガリア王国と知り、なんだか忙しい事になりそうな予感がしていた。

 キュルケはしばらくそんなことに想いを馳せながら、窓の外をぼんやりを眺めていると、前から馬車に乗った一行が現れ、深くフードをかぶり、手に杖を持った10人にも満たない集団とすれ違った。

「あら、あれって……」

 キュルケは先頭を行く貴族のフードから覗く顔に思わず声をあげた。

「どうかしたのか?」

 ルシファーが尋ねる。

「いえ、なんだか見覚えのある顔だったんだけど……うーん。思い出せないからもういいわ」

 キュルケはそう答えた後。視線をタバサに移した。相変わらず、ずっと同じページを見つめている。眼鏡の奥の澄んだ青い瞳からはなんの感情も窺えない。

 キュルケは優しくタバサの肩を抱いて、いつもの楽天的な声で言った。

「大丈夫よ。なにが起こったって、あたしたちがついてるんだから」










 国境まで二泊して、ゆるゆると3人は旅を続けた。

 関所でトリステインの衛士に通行手形を見せて石の門をくぐると、そこはガリアであった。ガリアとトリステインは言葉も文化も似通っている。『双子の王冠』と並んで称されることも多い。

 石門を挟んで、ガリアの関所があった。そこから出てきた衛士に通行手形を見せる。大きな槍を掲げた衛士は、開いた馬車の扉に顔を突っ込み、タバサとキュルケの通行手形と確かめ、ルシファーの分を要求した衛士にオスマンから貰った使い魔であることを示した書状を見せた。通行手形を確認めた衛士は、

「ああ、この先の街道は通れないから、迂回してください」と言いにくそうに告げた。

「どういうこと?」

「ラグドリアン湖から溢れた水で街道が水没しちまったんです」

 ラグドリアン湖はガリアとトリステインの国境沿いに広がる、ハルケギニア随一の名勝とその名も高い大きな湖だ。

 街道をしばらく進むと開けた場所に出た。街道のそばをゆるやかに丘がくだり、ラグドリアン湖へと続いている。湖の向こう岸はトリステインだ。

 衛士の言うとおり、確かにラグドリアン湖の水位はあがっているようだ。浜は見えず、湖水は丘の縁を侵食している。花や草が、水に飲まれているさまがよく見えた。

 タバサは本を閉じ、窓から外を覗いている。

「あなたのご実家、この辺なの?」

「もうすぐ」

 タバサは馬車に乗り込んでから、初めて口を開いた。しかし、すぐにまた黙り込んだ。

 街道を山側へと折れ、馬車は一路タバサの実家へと進む。

 そのうちに森の中へと馬車は進み、大きな樫の木がしげっているところに出た。木陰の空き地では農民たちが休んでいる。リンゴの籠に目をとめたキュルケは、馬車を止めさせ、農民を呼んだ。

「おいしそうなリンゴね。いくつか売ってちょうだい」

 農民は籠からリンゴを取り出し、ルシファーが財布から出した銅貨と引き換えにキュルケに渡す。

「こんなにもらったら、籠一杯分になっちまいます」

「3個でいい」

 ルシファーの代わりにリンゴを受け取ったキュルケは1個をかじり、1個をタバサに渡し、「銅貨を持ってたのね」と最後の一個をルシファーに渡して、農民にの方に振り返り言った。

「うん。おいしいリンゴね。ここはなんていう土地なの?」

「へえ、この辺りはラグドリアンの直轄領でさ」

「え? 直轄領?」

 王様が直接保有、管理する土地の事だ。

「ええ。陛下の所領でさ。わしらも陛下のご家来でさまってことでさあ」

 農民たちは笑った。確かのこの土地は手入れがよく行き届いた、風光明媚な場所である。王様が欲しがるのは無理はない。

 キュルケは目を丸くして、タバサを見つめた。

「直轄領が実家って……、あなたってもしかして……」



 







 それから10分ほどで、タバサの実家のお屋敷が見えてきた。旧い、立派なつくりの大邸宅である。門に刻まれた紋章を見て、キュルケは、う! と息を呑んだ。

 交差した2本の杖、そして、『さらに先へ』と書かれた銘。まごうことなきガリア王家の紋章であった。

 しかし、近づくとその紋章にはバッテンの傷がついた。不明誉印である。この家のものは、王族でありながらその権利を剥奪されていることを意味している。

 玄関前の馬周りにつくと、一人の老僕が近づいてきて馬車の扉を開けた。恭しくタバサに頭を下げる。

「お嬢様、お帰りなさいませ」

 他に出迎えに来たものはいない。随分寂しいお出迎えね、と思いながらキュルケたちも続いて馬車をおりた。3人は老僕に連れられ、屋敷の客間へと案内された。手入れが行き届いた綺麗な邸内だったが、しーんと静まり返って、まるで葬式が行われている寺院のようだ。

 ホールのソファに座ったキュルケはタバサに言った。

「まずはお父上にご挨拶したいわ」

 しかしタバサは首を振る。それから「ここで待って」と言い残して客間から出て行った。取り残された2人に、タバサと入れ違いで、先ほどの老僕が戻ってきて、二人の前にワインとお菓子を置いた。

 それには手をつけずに、キュルケは老僕に尋ねた。

「この屋敷、随分と由緒正しいみたいだけど。あなた以外、人がいないみたいね」

 老僕は恭しく礼をした。

「このオルレアン家の執事を務めておりまするペルスランでございます。おそれながら、シャルロットお嬢様のお友達でございますか?」

 2人は頷いた。オルレアン家のシャルロット。それがタバサの本名らしい。オルレアン、オルレアン……、そこまで思考をめぐらせてキュルケは、はたと気づく。オルレアン家といえば、ガリア王の弟、王弟家ではないか。

「どうして王弟家の紋章を掲げすに、不名誉印なんか門に飾っておくのかしら」

「ああ。何か事情がありそうだな」

「お見受けしたところ、外国のおかたと存じますが……。お許しがいただければ、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「ゲルマニアのフォン・ツェルプストー」

「俺は彼女の使い魔で亜人のルシファー」

 2人は簡単に名乗った。

「ところでいったい、この家はどんな家なの? タバサはなぜ偽名を使って留学してきたの? あの子、なにも話してくれないのよ」

 そして、キュルケがそう言うと、老僕はせつなげなため息を漏らした。

「お嬢様は『タバサ』と名乗っていらっしゃるのですか……わかりました。お嬢様がお友達を連れてくるなど、絶えてないこと。お嬢様が心を許すかたなら、かまいますまい。お2人を信用してお話しましょう」

 それからぺルスランは、深く一礼すると語り出した。

「この屋敷は牢獄なのです」











 あれから、ペルスランが語り始めたのは、タバサの壮絶な過去だった。

 5年ほど前にガリアの王位継承権を、長男であるジョセフとタバサ……シャルロットの父が争い。シャルロットの父は毒矢で胸を貫かれ謀殺された。
 そしてその後、ジョセフを王座につけた連中が、将来の禍根を絶とうと考え、シャルロットを狙い。宮廷に呼び、心を狂わせる水魔法の毒が仕込まれた酒肴を振る舞おうとし、シャルロットの母親は、寸前で料理に毒が入っている事に気づき、シャルロットの身代わりになり、毒が入った料理を食べ。心を病んだ。

 それから、明るかったシャルロットは別人のように変わり、自分を守るために、進んで王家の命に従い、生還不能の任務を達成し、忠誠を示したそうだ。

 だが、そんなシャルロットに王家は、本来なら領地を下賜されるほどの功績なのに、シュヴァリエの称号のみを与え、外国に、トリステインに留学させ、心を病まれた母親は屋敷に閉じ込めて、厄介払いをしたそうだ。

 さらに、今回のように宮廷で解決困難な任務が起こるたびに、シャルロットを呼びつけ解決させる。

 口惜しそうにペルスランは唇を噛みながら説明した。

 キュルケはタバサが口を聞かぬ理由を知った。決してマントに縫い付けぬ、シュヴァリエの称号の理由を知った。

 じっと馬車の中で、ページをめくりもしない本を眺め続けた理由も……。


 ペルスランがキュルケから学院で『タバサ』と名乗っている事を聞き。『タバサ』という名前が、母親が昔買ってきた来た人形の名前で、心を病まれた母親がその人形を娘と思い込んでいる事を聞いた。

 雪風……彼女の二つ名だ。彼女の心には冷たい雪風が吹き荒れ、今も病む事がないのだろう。その冷たさはキュルケには想像できなかった。











 扉が開いて、タバサがあらわれた。

 ペルスランは一礼して、苦しそうな表情を浮かべ、懐から一通の手紙を取り出した。

「王家よりの指令でございます」

 タバサはそれを受け取ると、無造作に封を開いて読み始めた。読み終えると、軽く頷いた。

「いつごろ取りかかれますか?」

 タバサが口を開こうとした瞬間。ルシファーが立ち上がり、タバサの目の前に立った。

「なに?」

 タバサが短く呟いた。

「このバカ者が!」

「「「っ!?」」」

 突然のルシファーの怒鳴り声に部屋に居た3人は驚いた。

 原作を知っていたルシファーは、もう少し後でタバサを救おうと思っていたが、直接ペルスランの話を聞いたことと、今までのタバサの態度に、数多くの子を持つ親として黙ってはいられなくなった。

 原作なんかもう知るか!

「なっ、なに?」

 ルシファーはしゃがんでタバサの小さな体を抱いた。

「まったく、もう少し他人を頼ればいいものをっ!」

 ルシファーはそう呟いて、一度体を離し、混乱しているタバサに力強く言った。

「今すぐお前の母親に合わせろ。病とやらを治してやる!」

「な……、治せるの?」

「俺は大魔王だぞ!」

「ちょ! だ、ダーリンっ?」

 いつもとは違う熱血漢の様な姿にキュルケまで驚いた。

「さあ、連れて行け!」

「…………(こくり)」

 タバサは、無言で頷いて、早足で母の部屋に案内した。

「ちょっと、待ちなさいよ〜」

 タバサが案内した部屋には、ボロい人形を抱きしめた。痩身で怯えた目をした女性がベットに寝ていた。

 ルシファーとタバサは寝ている女性に近づいた。

「治せる?」

 寝ている母親を見ながらルシファーに不安げに尋ねた。

「ああ。少し待ってろ」

 ルシファーはタバサの頭にぽんと手をおいて答えた。

「【王の財宝】」

 ルシファーは【王の財宝】から、体を正常に戻す能力を持った聖杯を取り出した。

「それは?」

 何もない空間から杯のような物を取り出したことに驚きながら、タバサは、その杯が何かを尋ねた。

「これは『聖杯』だ。まあ、正式名称や仕組みは長いから省くとして、要約すると、この杯を満たしているこの光る水を飲んだ者の体から、病気や怪我、毒や呪いを消し去る能力を持っているんだ」

「その水を飲めば母様は助かるの?」

「ああ。少し待ってろ」

 ルシファーは杯の水を一口含んで、眠っている女性の唇に重ね。口移しで飲ませた。

 口移しにより『聖杯』の水を飲まされたタバサの母親の顔が、穏やかで安心したような顔つきに変わり血行がよくなり、顔に朱色が戻った事を確認したルシファーが、タバサに向き直って言った。

「これで、次に目覚めた頃には治っているはずだ」

「ほんとに?」

「ああ」

 力強く頷いたルシファーを見たタバサは、そっと母親の傍に寄り添い、手を握った。

 ルシファーはそんな2人を邪魔しないようにと、静かに部屋を出た。

「あれでほんとに治ったの?」

 部屋の前で待っていたキュルケが尋ねた。

「ああ。『聖杯』を飲んだ者は、どんなに傷ついていようが、猛毒に犯されていようが治すから、心を狂わす毒ぐらい簡単に治すさ」

「へぇー、そんなにすごいんだ。さすがダーリンね!」

 キュルケはルシファーの首に手を回して、笑顔のまま続けた。

「でも、病人だからって口移しで飲ませるのはねー、あたしでさえ口移しなんて経験したことがないのに……、ていうか、ここまで一度も出来なかったから、溜まってるのに……」

「キュ、キュルケ?」

「ペルスランさん。お部屋をお一つお借りて言いかしら?」

 キュルケはルシファーを無視したまま、病気を治してもらったことにお礼を言おうとしたペルスランに尋ねた。

「は、はい。こちらのお部屋をお使いください」

 キュルケの飢えた猛獣の顔に、お礼を言うのも忘れて、客室へと急いで案内した。

 キュルケはルシファーを引きずるように、引っ張っていき、ペルスランが案内した客間に入ると、ルシファーの服を剥ぎ取り、キュルケ自身も裸になり、ベッドに押し倒し、唇を重ね。ルシファーの口内を舌で犯しながら、片手で自分の胸を揉みながら、もう片方の手でルシファーのペニスをしごき始めた。

「ふふふっ! たくさん愛してね。ダーリンっ!」

 キュルケの暴走は続き、ベッドに寝転がるルシファーのペニスに向かって顔を向け、オマンコをルシファーの顔に向け、69の体勢をとり、おいしそうにペニスをしゃぶり、犬のように尻を振る姿に、とうとうルシファーにも火がつき、両手でくぱくぱと蠢きながら愛液を垂れ流すオマンコに両指で愛撫を始めた。

「あはぁ、んんっ! うふふ、この感じ久しぶりだわぁ……、ううっ、いいっ! ゆびっ、もっと! もっとかき回してえぇぇ!」

 キュルケは差し込まれたルシファーの指の動きに、連動するかのように声をあげて悦びながら、仕返しをするようにペニスをしごき、キュルケの顔に精液を浴びせた。

「あはああぁぁぁー!」

 キュルケは悦びながら、精を吐き出しているペニスを咥え込んで、じゅーと尿道に残った精液まで残さずに吸い取り、指先で体にかかった分の精液を掬い取ると下品に、ちゅぱちゅぱと音を出しながら舐めとった。

 そして禁欲生活から開放され、理性が崩壊しているキュルケは、そのまま中腰になり、後ろ抜きでペニスを差し込んだ。

 キュルケは自分の両手で、自分の胸を鷲づかみ、乱暴に揉みながら、子宮を突き上げ圧迫してくるペニスに背を反らしながら快感を酔いしれた。

 ルシファーは、快感を貪るキュルケの顔を背中越しに覗きながら、激しく腰を打ち、オマンコの感触を味わった。

 それから2人は、タバサの屋敷に着くまでやれなかった分を取り戻すかのように、交わり続けた。

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