小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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アザゼルとセイクリッド・ギアの訓練を始めてから一週間が経過した。
肝心のセイクリッド・ギアはなんの進展もないが、魔力を少しだけ操ることができるようになった。

放課後になり、俺は一人で部室に向かっていた。
掃除があんなに長引くとは……イッセー達はもう行ったのだろう。

俺は部室までダッシュした。
部室の扉の前まで来て開けようとしたとき、

ガッシャァァァァァァン!

中から大きな破砕音が聞こえた。なんだ!?
俺は勢いよく扉を開け、部室に入った。

目に映ったのは散らばったデスクと雑貨品。
その中心には傷だらけのイッセーと治療をしているアーシアさんがいた。

「イッセー!!」

俺もイッセーに近づこうとするが扉付近で待機していた木場に右手を掴まれ止められる。

「はなせ木場!イッセーが怪我してんだぞ!?」

木場は悔しそうな顔をしているが俺を離そうとしなかった。
部室の中にはいつものオカ研メンバー以外の人物がいた。銀髪のメイド服の綺麗なお姉さんと
赤いスーツを着たワイルドに着こなしたホストみたいな奴、その男を取り囲むように沢山の美女、美少女が並んでいた。

「エージ……」
いつもは遅刻してきたら叱ってくれる部長も元気がない。

「リアス様、彼が最後の『兵士(ポーン)』ですか?」

銀髪のメイドさんが部長に聞いた。

「……ええ、『兵士』の古城英志よ。これで私の眷族は全員よ」
「そうですか。はじめまして古城様、私はグレモリー家に仕えるグレイフィアと申します。以後お見知りおきを」

そう言ってグレイフィアさんは礼儀正しくお辞儀をした。

「あ、はいよろしくお願いすます……」
「はははは、リアスの自信は最後の一人が余程強いからだと思ったが……なんだ只のゴミじゃないか!
これはこの勝負は楽勝だな!」

カチーン
額に手をあて高笑いをするホスト野郎を睨み、指さしながら部長に聞いた。

「部長……このチャラいトサカ野郎はどこのどいつっスか?」
「貴様!我が主を侮辱するか!!」

トサカの取り巻きの一人が俺を怒鳴りつけるが無視する。

「やめろ、カーラマイン。こんな魔力も感じられない転生悪魔の挑発など聞くに値しない」

部長はため息をつきながら俺に説明してくれた。

「彼はライザー・フェニックス。純血の上級悪魔でフェニックス家の三男よ。
そして忌々しいことに私の婚約者でもあるわ」

部長の婚約者!?こんな奴が!?

「先の大戦で多くの純血悪魔を失った我々悪魔にとって、純血悪魔共しの縁談はとても貴重なものなのです。
ですので旦那様とリアス様のお兄様はリアス様とライザー様の縁談を決められたのです」

グレイフィアさん、分かりやすい説明ありがとうございます。

「とにかく私は貴方と結婚する気はないわ」
「そうはいかないんだよリアス、俺たち縁談にはこれからの悪魔の未来がかかってるんだぞ?」

この様子からして部長はライザーとの結婚を拒んでいるようだ。
主が嫌がってるんなら、力となるのが下僕ってもんだ!
木場の手振り払い、俺は口論をしている部長とライザーの間に割って入った。

「おい、部長は嫌がってんだ。それにお前は部長の意思を押し殺して、無理やり結婚させる最低野郎なのか?そんな奴に部長と結婚する資格なんてない!」
「エージ……」
「貴様ぁ!」

先ほどのカーラマインと呼ばれた女性が剣を抜き放ち俺めがけて突撃してきた。
俺はその剣戟をなんとか避けて、セイクリッド・ギアを発動させた。

「すぐキレて力で従わせようとするのがフェニックスのやり方なのか?そんなん近所の小学生だってできるっての!!」

俺が避けれないとふんで、大振りの隙だらけの一撃を放ったカーラマインの腹に俺は全力の右ストレートをたたき込む。
勢いよく部室の壁に激突した。埃が巻き起こり、一瞬静寂が部屋を支配する。

「やってくれたな貴様……もう容赦しないぞ!」

やばいな、最初の一撃を完璧にかわす事が出来なかった。
俺の制服は右肩から身体の中心にかけて裂けていて血が滲んでいる。
それに俺はまだ悪魔に成りたてで魔力も少ない。
その少ない魔力をさっきの右ストレートに全ての注ぎ込んだ、今の俺の最強の一撃をうけて
平然と立ち上がった!正直もう勝ち目がないが、部長の手前だ!
逃げるわけにはいかない!!
俺が構えをとりカーラマインが剣を構えた瞬間、グレイフィアさんの声が響いた。

「これ以上の戦闘行為を看過するわけにはいきません。逆らうのならサーゼクス様の名誉のために私が相手になります」

グレイフィアさんから感じるプレッシャーが強くなり、俺はおとなしく拳をおさめた。
カーラマインも俺と同じ様に武器をおさめる。

「この縁談の行方は先ほど決定した通り『レーティングゲーム』で決めます。
開催は十日後、それまでは対戦相手どうしの戦闘は禁止します」

レーティングゲーム?

「分かっていますよ。おいそこの餓鬼、命拾いしたな。
それではリアス、次のゲームであおう」

大勢の女性を連れてライザーはどこか転位した。

レーティングゲームのことは知らないけど、まってろトサカ野郎!!絶対にぶん殴ってやる!!

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