その夜、俺達は姫島先輩が作ってくれた夕食を食べていた。
もの凄く美味い!
「姫島先輩の結婚相手は幸せだろうなぁ。こんな美味い料理が毎日食えるんだし」
「うふふ、ありがとうエージ君」
ゲシッ!
右隣に座っていた梓乃が無言で脇腹を肘で突いてきた。
「グフッ!何すんだよ梓乃!」
「……別に」
美味いものを美味いと言って何が悪い!
憮然としながらも俺は食事に集中することにした。
俺の左隣では搭城さんが静かに凄い量の料理を食べている。
なんでこんなに食べてるのに大きくならないんだろうな?背とか、むn
バキッ!
俺は搭城さんに思いっきり足を踏みつけられた。
二人とも、暴力に訴える必要は無いんじゃないかな?
俺の身がもたないよ……
食事が終わり、一段落ついた所で部長が口を開いた。
「イッセー、エージ。今日修行してみてどうだったかしら?」
「俺が一番弱かったです……」
イッセーが先に言った。
「そうね、それは確かだわ」
部長はキッパリ言いきって、次に俺の方に目を向けた。
「えっと俺は武器の扱いが特に苦手です…………」
「エージの場合は極端ね。格闘技は小猫と戦えばなんとかなるし、
魔力の方も少しは扱えるみたいだし……問題はセイクリッド・ギアね」
部長の言う通り、俺はセイクリッド・ギアが使えない。
イッセーやアーシアさんの様にどんな力があるかも分からない。
「このさい、エージは小猫と朱乃に指導して貰いましょう。長所を伸ばすのよ」
「……はい。わかりました」
俺はまだ弱いんだ……
仲間を守れる力が欲しかった。
悪魔は夜に活動的になるので当然、夜の練習があった。しかも昼間の四倍。
もう、胃の中身が出ちゃいそうだった。
その夜の訓練も終わり、つかの間の休憩時間。
俺は外に出てセイクリッド・ギアの訓練を始めた。
辺りは暗く他のみんなも寝ているのだろう。
「 ずいぶん熱心じゃねぇか」
暗闇から姿を表したのはアザゼルさんだった。
「うわっ!驚かせないでぐさいよ………」
「悪い悪い。で、お前は何をしてるんだ?」
「……セイクリッド・ギアの訓練です。てか、気配消してますよね?」
「心配すんな。他の奴に見つかるヘマはしねぇ」
エロゲに熱中して梓乃にバレたので説得力がない。
「で、何のようですか?」
「お前の特訓に付き合いにきたんだよ。ついでにお前のセイクリッド・ギアについて
少し解析ができたんでデータを持ってきたんだ」
「ホントですか!?」
アザゼルさんは真剣な顔で頷いた。
「こんな面白い結果が出るとは思わなったぞ。この合宿でお前には俺の解析が正しいのかを
示すモルモットに成ってもらうぜ」
そして俺はこの合宿の間、昼と夜は部長達と修行。
深夜にアザゼルさんとのセイクリッド・ギアの訓練をするという
地獄のサイクルをこなすことになった。
○レーティングゲーム当日
地獄の山籠りも終わり、俺たちオカ研メンバーは駒王学園の部室で待機中だ。
いつも通り俺達は制服だったがアーシアさんだけは教会のシスター服を着ていた。
各々リラックスできる方法で時間を潰している。
「……エージ先輩、最後に柔軟を手伝ってください」
「了解」
塔城さんとは一番練習した時間が長かったので少しは仲良くなれたきがする。
でも、俺と塔城さんが話していると梓乃の機嫌が悪くなるの何故だろうか?
そんな風に思いながら塔城さんの柔軟を手伝っていると、スピーカーからグレイフィアさんの声が
響いた。
『それでは皆様、魔法陣の中にお入りください。尚、一度ゲーム用のフィールドに移動すれば
魔法陣を使った移動はできないのでご了承を』
いよいよか……
俺と塔城さんは立ち上がり魔法陣のなかに向かう。
「待ってろトサカ野郎、特訓の成果を見せてやるぜ!」
魔法陣が光り輝き、俺たちの転移が始まった。