小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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○合宿中

「お前のセイクリッド・ギアにはな大量の記録が保管されているんだ。まだ一部しか解放されていないが
その中には戦闘に役立つものもある。魔法や術への対処法とかな。
で……お前はこれを自由に閲覧できるわけだ」
「閲覧?」
「その中のデータはどういう訳か外部から覗くことができない。つまり所有者のお前しか
そのデータを知ることができないんだよ」

でもデータだけじゃ意味ないんじゃないか?俺にそれが扱えるとは思えないんだけど……

「ようするに、俺のセイクリッド・ギアはデータの塊で戦闘には向いてないって事ッスか?」

それはショックだセイクリッド・ギアの力さえ分かればみんなの役に立てると思ったのに。

ビシッ!

「いたっ!!」

アザゼルさんにチョップをもらった。

「馬鹿野郎、全然わかってないなお前。いいかエージ、知識は力だ。
どんなに大きな力を持っていても使い方が分からなければ意味がない。
お前はその使い方が山ほどあるってことさ。これは有利な事なんだぜ?」

有利……

「それに人の話は最後まで聞け、セイクリッド・ギアってのはな人に力を与えるもんだ。
お前のも例外じゃねぇ、ちゃんと戦闘にも使える機能があるんだよ」

アザゼルさんは心底嬉しそうに笑っている。

「お前えはそのデータを閲覧するだけじゃなく、使用できるのさ。俺の仮説だが、
記録してある魔法陣を展開して魔力を注入すれば、魔法が使える筈さ。
魔法だけじゃねぇ、そこに記録されてる事象まで再現することができるかもしれないんだぜ!?
ホントに面白いセイクリッド・ギアだ!まるでビックリ箱だな!!」

ビックリ箱か。なにが飛び出すか分からない……確かに凄い代物なのかも……

「じゃあ俺はレーティングゲームまでにこのデータの中から攻撃方法を自由に引き出せるようにするんですね?」

俺の質問にアザゼルさんは首を横に振った。

「この方法はかなりの魔力を消費する。今のお前じゃ、魔法陣をだして使ったら三発が限界だろうな
この力もお前自信のレベルアップが肝心なのさ。だからその中から実戦で使えそうなものを探せ
それを自由に使えるようにするんだよ」



○現在

「『バリオン・レイ』」

俺が展開した魔法陣の一つから灼熱の熱戦が放たれる。狙いは空にいる標的だ。
この『バリオン・レイ』が今のところ使える魔法のなかで一番威力があって、すぐに発動できる。

「くっ!!」

ギリギリでかわされた。次は当てないとな。
ユーベルーナが俺に向かって叫ぶ。

「な、なんなの貴方の力は!?魔法を使える技術があるわけないわ!!」

この世界での魔法とは魔力を使い魔法陣を構成し、発動させるものらしい。
難しいことはわかんねぇけど、魔法を使うにはかなりのセンスと技術がいるようだ。
その魔法を俺が使えるのは、このセイクリッドギアの力だ。
かんけぇ無いんだよ……俺には魔法陣を構築する必要はないし、ただそこに魔力をぶち込むだけだ!

「まさか、そのセイクリッド・ギアの力なの!?」

感が鋭いな……流石は『女王(クイーン)』。

「そうだ、俺のセイクリッド・ギアの能力。コイツの中にある魔法陣のデータを引っ張り出して
そこに魔力を注ぐんだ。簡単に魔法が使えるんだよ」

俺の説明を聞いたユーベルーナの顔が驚きに歪む。

「下級悪魔の分際で!フェニックスの眷族を舐めるなよ!!」

ユーベルーナの手が俺に向けられる。あの爆発はヤバかった。
瞬時に防御魔法陣を展開して使っちゃったからな。

「うるせえ!グレモリー眷族舐めんじゃねぇ!!」

俺はユーベルーナにさっきと同じ魔法陣を向ける。これが最後の一発だ!!
絶対に当てる!!

「消し飛べ!!」
「お前がな!!」

魔力の力がぶつかり、衝撃波が起こる。
あたりのものが吹き飛ぶ。

「つらぬけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

結果、俺の攻撃が勝りユーベルーナ直撃する。
やったか!?
だが、俺の身体に異変が起こった。
あ、熱いな……何だこれ!?次の瞬間俺の足元が爆発した。

「がっ!?」

ユーベルーナの攻撃!?そんな馬鹿な!?あいつは俺が……

「あぶなかったわ……まさか貴方相手に『フェニックスの涙』を使うことになるなんて」

俺の砲撃に呑まれた筈のユーベルーナが後ろに立っていた。
いくら魔力の鬩ぎ合いで威力が減少しても、無傷なはずはない。
そういえば合宿中に教えてもらった気がする。ゲームの中での回復アイテムが存在するのを……
それが確か『フェニックスの涙』

「貴方の力は異常よ、ここで撃破させてもらうわ」

再び俺に手を向けるユーベルーナ。
ここで撃たれたら、俺はダメージの受けすぎでリタイヤしてしまうだろう。
その心配は必要ないだろうが。

「お前は一つ忘れている……」

ズドンッ!!

「ぐあっ!!」

ユーベルーナが殴り飛ばされる。塔城さんが後ろから強烈な拳打を打ちこんだのだ。
その飛ばされた先には二大お姉さまの一人、姫島先輩。

「これはチーム戦だ」

姫島先輩の雷が今度こそユーベルーナを呑みこんだ。

『ライザー・フェニックス様の「女王」、戦闘不能』





「いててててて」

俺は塔城さんの肩を借りてグランドに向かっている。姫島先輩も一緒だ。
イッセーは俺が戦っている間に部長の指示があり、先に進んだらしい。
魔力をほとんど使い切って俺はダウンギリギリだった。

「……まったく……無茶をしますエージ先輩は」

うっ……面目ない……でもあの場合はしょうがなかったんだよ。

「……でも、助けてくれたのは嬉しかったです……ありがとうございます…」

小声で聞き取り難かったが塔城さんは顔を赤くしてお礼を言ってくれた。
照れてるんだろうか?

「咄嗟に身体が動いただけだよ、それに今俺が戦えるのは塔城さんに鍛えてもらったから
でもあるんだし…」

女の子に感謝されたことなんてない俺はなんて言えばいいのか分からず、少し早口になってしまった。
オロオロしている俺を姫島先輩がウフフと笑っている。

『ライザー・フェニックス様の「兵士(ポーン)」二名、「騎士(ナイト)」二名、「僧侶(ビショップ)」一名
、戦闘不能』

おおっ!大量撃破じゃないか!!
これで後は他の奴らを倒せばいいんだな。

「これで相手の眷族は全員撃破しましたね」
「へ?全員?」

俺は姫島先輩の言ったことが聞き間違いじゃないかと聞き返す。

「エージ君の戦闘中に木場君達が残りの下僕を倒してくれましたの。だから残っているのは、『王(キング)』
のみですわ」

マジか!?じゃあ、後はトサカ野郎をぶッ倒せば俺たちの勝ちってことか。

ドンッ!!

おおきな爆砕音が辺りの響く。それと同時にイッセーから通信が入った。

『みんな無事か?イッセーだ、今部長が屋上でライザーと一騎打ちしてる。俺も屋上に向かってるから
みんなも早く来てくれ!!』

部長が屋上で戦ってる!?この音はその戦闘のものか。

「では……エージ君、小猫ちゃん、私は先に行きますわね」

姫島先輩は翼を広げ部長のところに飛んで行った。
俺はまだ翼を使うのが上手くできなくて飛べないんだよな。

「塔城さん……もう大丈夫だ。急ごう」

俺と塔城さんは屋上目指して走り出した。

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