小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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「記憶を……消した?そんなことができるんですか!?」
「できるわ、実際にイッセーとあなたの友人は彼女を覚えていなかったでしょう?」

その通りだった。松田と元浜は何も覚えていないようだった。
イッセーに彼女ができたことを覚えていれば
毎日のようにイッセーは二人によって半殺しにされていただろう。

「そういえば、天野夕麻が記憶の消去が上手くいかなかったって言ってました。」
「上手くいかなかった?堕天使の技術力はかなり高いわ。失敗するなんてあり得ない。」
「俺も最初は忘れてたんです。でも、なんか違和感を感じて……。思い出そうとすると
頭が痛んだんですけど、だんだん和らいできて…そして思い出したんです。天野夕麻のことを。」

リアス先輩は俺の話を聞いて、腕を組んで何やら考えているようだ。

「自力で消された記憶を呼び覚ましたっていうの?そんなことできるはずがない……。
もしかしたら……。古城君、あなたは堕天使に殺されたって言ったわよね?」
「はい」

光の槍に貫かれた時の痛みは今でも鮮明に覚えている。リアス先輩は少し間を置いて聞いてきた。

「包帯をとってみてくれないかしら?」

言われるままに包帯を外すと、そこに傷はなかった。

「何もない…。」
「傷が再生している、どうやらあなたは神器を持っているようね。」
「神器?」
「神器は選ばれたの人間に宿る、人間の領域を超越した力。歴史に名を残して
いる者の多くが神器所持者だと言われているのさ。」

横から木場が説明を入れてきた。このイケメンは気も利くのか、非の打ち所がねぇじゃね
ぇか!俺が何かに負けて絶望していると、姫島先輩が更に補足の説明をしてくれた。

「今、世界で活躍している方々の中にも神器所持者は沢山いるのです。」

俺の目の前に紅茶が出される。姫島先輩が注いでくれたのだろう。

「あ、ありがとうございます。」

そんな俺の隣では、搭城さんが黙々とカステラを食べていた。
マイペースだなぁ。
リアス先輩は頷き、

「二人の言った通り、神器は人間に力を与えるわ。その中には悪魔や堕天使を滅ぼす力を
もった物もあるの。あなたは間違いなく神器所持者だわ。」

説明を聞く限り、俺の身体にはその神器ってのが宿ってるのか?
じゃあ、俺の傷が治ってるのも神器のお陰ってことか。

「あなたの神器がどのような物かは分からないけど、致命傷を数時間
でここまで再生するほどの力があるって事は余程、強力な神器を宿しているはずよ。」

俺にそんなものが……。にわかに信じられない。
そんな俺を見て、リアス先輩は決断したように大きく首肯した。

「決めたわ!!古城君、私の眷族になりなさい!!」
「へっ……?」
「堕天使の記憶操作を自力で打ち破り、死の淵から帰還したあなたなら下僕
として申し分ないわ!!」
「いや、でも……俺悪魔じゃないし……………。」
「大丈夫よ。私の眷族はここにいるみんなで全てなの。
兵士の駒八つは全部イッセーに使ってしまったけれど………。『変異の駒』を使えばなんとかなるわ。」
「ちょっ、ちょっと待ってください!!」

慌てて止めに入る俺を怪訝そうに見つめるリアス先輩。

「どうしたの?何か不満でもあるかしら?」
「そんな訳じゃないんですけど………。」

今日は色々ありすぎて正直もう正常な判断が出来そうにない。
ただでさえ疲労しているのに、こんなに沢山の情報を聞かされたのだ。
整理する時間が欲しかった。

「時間をください。情けないですけど
今日はもう疲れました…。」
「そう、分かったわ。でも早めに決断しなさい。あなたが生きていることが
堕天使に知られれば、また命を無駄にすることになるわよ。」

リアス先輩は今日あって話したばかりの俺を心配してくれている。優しい人?だと思った





結局その日の話し合いはそこで終わった。

「また、明日に話をしたいからこの部屋にきてちょうだい。」
「分かりました。そういえば、ここって学園の敷地なんですか?」

窓から見える景色には見覚えがあったので聞いてみる。

「その通りよ。旧校舎の私達、オカルト研究会の部室よ。」
「オ、オカルト?」
「表向きの仮の姿よ。その方が活動しやすいの。」
「な、なるほど……。」

こんなに身近に悪魔なんて存在がいたのに驚きだ。
やはり、世界は不思議に満ちている。

情けないが、自力で家に帰るのは無理だった。まだ、身体が動かない。
リアス先輩曰く急激な再生により肉体の組織が傷んでいるらしい。
登校できるかなぁ。
するとイッセーが肩をかしてくれた。その顔は心なしか暗い。

「部長、俺エージを家まで送っていきます。」
「分かったわ。今日はもう仕事はないから、イッセーもそのまま帰っていいわよ。」
「そうします、ありがとうございました。」

扉を開き、挨拶をしているイッセーは口調こそ明るくしようとしているが、
いつもの朗らかさがない。大丈夫だろうか?
学園からでた辺りで、イッセーは口を開いた。

「エージはさぁ、夕麻ちゃんのこと……。覚えてたんだな。」
「ああ……。」
「俺もさ、みんなが夕麻ちゃんの事覚えてなくて、夕麻ちゃんがホントは存在
してないんじゃないかと思った。でも、部長たちが教えてくれたんだ。夕麻ちゃんの……
堕天使の存在を。」
「さっき、リアス先輩の話しに少しだけ出てきたけど……イッセーが殺されたって本当か?」

イッセーは少し黙っていたが、答えてくれた。

「本当だ。俺は夕麻ちゃんに殺されたんだ。初めてのデートの日に。」
「許せねぇな………!!」

無意識に俺は奥歯を噛み締め、拳を強く握っていた。
友人の恋心を利用して殺した……堕天使への怒りだった。

「お前みたいにモテない奴にとってデートは神聖な儀式なんだよな!!
堕天使どもは分かっていない!!どこまでも救いのない奴らだぜ!!」
「エージ………。さりげなく俺を馬鹿にしたな?」
「いや、そんなことはない。神に誓って。」
「やめろ!!目の前で十字をきるなっ!!ダメージ受けるだろうが!!
あと、言わせてもらうが……お前だってモテないだろ!!」
「なんだと!?性欲の化身の癖に!!」
「誰が性欲の化身だ!!俺はいずれ、ハーレム王になって薔薇色の人生を送るんだ!!」

少しだけいつものイッセーに戻ったな。元気ないイッセーなんてイッセーじゃないからな。

真夜中の街に二人の騒がしい声が響きわたった。

-3-
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