小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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「二天龍?」

俺は現在、アザゼルさんに今の三大勢力の歴史を教えてもらっていた。
部長から教えてもらったのは、悪魔の歴史だから全体の歴史については俺は無知だった。

「二天龍。堕天使、天使、悪魔の戦争に突然介入してきた二匹の強大な龍の事だ。
この二匹のせいでどの勢力もおおきな被害をうけた」

うげ〜
なんでそんなに危ない龍が暴れたんだろう。

「アザゼルさん、そんな強大な龍を三大勢力はどうしたんですか?」
「その二匹を倒すために協力して、最後には二匹をセイクリッド・ギアに封じ込めたのさ」

なるほど……

「因に、その二匹のうち一匹はヴァーリのセイクリッド・ギアに宿ってるぞ」
「マジですか!?道理で強い訳だ……」
「まぁアイツが強いのは他にも理由があるがな…」

先生がボソッと呟く。
くそっ!俺がアイツを倒せる日はくるのか?

「で、お前も少しはドラゴンと話せるようになったか?」
「……まだなにも反応してくれません」

そうなのだ。あれから訓練に明け暮れ、強くなった筈なのだがランサスは一向に俺の呼び声に応えてくれない。

「うむ……強くなれば反応すると思ったんだが……何か切っ掛けが欲しいのかもしれんな」

腕組みして真剣に悩んでいる様子のアザゼルさん。

「切っ掛けって……例えばどんなのですか?」
「本気のヴァーリと戦えば或いは……」

無視されたぜ。
しかし、本気のヴァーリと戦ったら俺が死ぬから勘弁してほしい。

「……しょうがない、息抜きにお前、人間界行ってこい」
「え!?いいんですか?」

俺がここにいるのは、悪魔側に俺の命を狙っている奴がいるかも知れないからだ。
そんなに辺りをウロチョロしていいのだろうか?

「四時間だけ久しぶりに楽しんでくればいい。ただし、悪魔には関わるなよ。お前は狙われてるんだからな」

アザゼルさんにきつく釘をさされ、俺は約4週間ぶりに自分が生まれ育った街に帰ってきた。









○ファミレス

「うまい!日本の食事はうまいぞ!」
「うんうん!これよ!正に故郷の味ね!」

目の前には白いローブを羽織った女の子達が凄い勢いで料理をたいらげていた。
俺の奢りで。財布…足りるかな………

路上でこの子達が

「迷える子羊にお恵みを〜」
「どうか天の父に代わり私達にお慈悲をぉぉぉぉぉ!!」

とか言って嘆いていたのが余りにも悲惨だったのでファミレスに連れていったのだ。

教会の関係者だろうが困っている人は見過ごせないよな。
アザゼルさんにも悪魔には近づくな、としか言われてないし。

でも………

どうやらこの二人はヤバイ。教会の関係者だと思っていたが、どうやら相当な手練れだ。布にくるまれている長い得物からも妙なプレッシャーを感じる……

「ふぅ、落ち着いた。奢ってもらってすまない。感謝するよ」

前髪に緑色のメッシュを入れている目付きの悪い女の子がやっと食事の手を止めてくれた。

「ご馳走さまでした。ああ、主よ。心優しきこの者にご慈悲を」

続いて栗色の髪の毛の女の子も食事を終えた。
十字を切られたせいで頭痛が俺を襲う。
悪魔は目の前で十字を切られたり、聖歌を歌われると頭痛などの痛みがおこるのだ。

俺は苦痛に耐えながら無理やり笑顔をつくり二人に聞いた。

「えっと……お二人は外国からきたんですか?」
「そうだな。ある特殊な任務で日本に訪れている」

メッシュの子が答える。

「そうですか……それはご苦労様で「あと、いい加減正体を表せ」……」

やっぱり気付いてたか……

「お前が悪魔だって事には気付いていたが……私達は食べ物に飢えていてな……
しょうがなくついてきてやったまでだ」
「その割には夢中で食事してたじゃないか」
「……それも作戦のうちだ」

……嘘だな。絶対忘れてたに違いない。

「それより、ゼノヴィア。これはリアス・グレモリーが私達の忠告を無視したって事でいいのかしら?」

栗色の子がメッシュの子―――ゼノヴィアに問う。

「そうだろうな。だが、この間の会談の席にこんな男が居ただろうか?」

顎に手を当てウーンと唸っているゼノヴィアに栗色の子が呆れたように言った。

「何言ってるのよゼノヴィア。悪魔といえ人の顔を覚えないのは失礼よ。ちゃんとこの人だって参加してい……た筈よ……多分」

俺の顔を凝視していた栗色の子の声がドンドン自信を失った様に小さくなる。

「なんだイリナ、お前も分からないのか?」
「うっ……い、居たかどうかは本人に聞けば分かるわよ」

イリナと呼ばれた栗色の子が焦った様に俺の方を指差す。

取り敢えずここは……

「ごめん、俺はこの辺りの悪魔じゃないから……詳しいことは分からないや」

適当な事を言っておどけてみる。これで通ればいいんだけど……

「「……………」」

うわぁ〜すげぇ睨まれてる。恐いよこの子達、普通にしてれば可愛いのに。

「まぁいい。もうじきコカビエルの居場所も分かる。祖国に帰るのも時間の問題だ」

ゼノヴィアが嘆息しながら呟く。その一言に俺は違和感を感じた。

(コカビエル……なんで堕天使の幹部の名前がでてくるんだ?)

俺は疑問に思い二人に問い質そうとしたが、

ジリリリリリリリ

俺の携帯の着信音が鳴り響き、中断してしまう。
一体誰だ?

「もしもし……」
『エージか?そろそろ息抜き終了の時間だぜ』

電話の相手はアザゼルさんだった。
時計を見ると確かに休憩時間はもうすぐ終わりを迎えようとしていた。

「もう少し……時間くれませんかねぇ」
『駄目だ。いいから帰ってこい』
「………分かりました」

アザゼルさんの厳しい一言で俺は詮索を諦め帰ることにした。

携帯をしまい金を財布から取りだし二人に渡す。

「俺ちょっと用事ができたから、このお金で会計済ませて。それじゃ!」

それだけ言って俺はダッシュで二人の下を離れた。




sideイッセー

エージが消えて4週間が立つが、その間に沢山の事があった。

エクスカリバー強奪事件。
教会の使者であるゼノヴィアとイリナが、奪われたエクスカリバーを回収するため俺達の活動領域に踏み込んできた。

それ事態に加え……聖剣に憎しみをもつ木場が暴走気味で眷族の間がギクシャクしているんだ。

それをなんとかするため、俺は今、小猫ちゃんと生徒会の匙を連れてエクスカリバー破壊の許可を得るためゼノヴィア達を探していた。

けど結局見つからず、昼時なのでファミレスに入ることにした。

入って驚き、ゼノヴィアとイリナがいた。

俺達は二人に近づ、。エクスカリバー破壊の話を持ち掛けた
結果はOKであっさり了承してくれた。

これで木場と一緒にエクスカリバーを破壊すれば万事解決だ!
ガッツポーズをする俺を見ながら、ゼノヴィアが口を開いた

「先程、違う地区から来たとか言う悪魔がいたんだが……心当たりはないか?」

違う地区から?そんな話、部長からも聞いていない。

「いや、知らないけど……どんな奴だったんだ?」

ゼノヴィアに代わり、答えたのはイリナだった。

「私達と同じぐらいの歳で短い黒髪の人だったよ。でも、多分すごく強いとおもう」
「だな、アイツは力を隠していた。恐ろしい限りだ」

イリナの意見にゼノヴィアが同意する。

黒髪の男の悪魔……
まさか!?

「……エージ先輩の魔力…間違いない……生きてたんだ……よかった」

小猫ちゃんが目を閉じ、涙を流しながら呟いた。

俺も込み上げてくるものをおさえられなかった。
馬鹿野郎……連絡ぐらいしろってんだ!!

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