小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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sideイッセー

くそ!
俺たちの学園に攻め込んできたコカビエルは予想以上の強さだった。

俺が倍加の力を譲渡した部長の一撃でも倒せないなんて……

今は木場とゼノヴィアがコカビエルを切りつけているが、当たる気がしない。
これが聖書にも記された堕天使の力だってのかよ!!

俺もサポートに徹していないで、倍化の力でアイツと戦わなきゃ!!
エージがいない以上『兵士(ポーン)』である俺がみんなを守らなくちゃいけないんだ!!

俺がコカビエルに突撃しようとしたとき、空に二筋の光が見えた。

『これは……白いのか……だがもう一つの方から感じるのは龍の波動、一体何者だ?』

俺の『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』に宿っているドラゴン
ドライグが俺にしか聞こえない声で呟く。

その二つの光は俺たちの居るグラウンドに凄まじい速度で向かってくる。
減速しなければグラウンドに直撃してしまうだろう。

一つの光はグラウンドのスレスレで見事に制止したが……

ズドンッ!

もう一方の光は地面に見事に墜落した。そこには墜落の衝撃でクレーターが出来ていた。
なんだこいつら?
突然の出来事にここに居る全ての人の視線が飛来してきた二人の人物に集まる。

「……勘弁してくれ…」

白い鎧を纏った人物が額に手をあてながら困ったように呻いた。

「いてぇ……あんの馬鹿総督〜帰ったら絶対に文句言ってやる!!」

クレーターの底から声が聞こえた。
!!
こ、この声はまさか!!見ればグレモリー眷族のみんなが俺と同じように驚きの表情を浮かべている。

「……一瞬天国が見えたぜ……童貞卒業するまで死んでたまるかよ」





sideエージ

俺は墜落の衝撃でふらつきながらも立ちあがり、俺が墜落してできたクレーターを登る。

「……一瞬天国が見えたぜ……童貞卒業するまで死んでたまるかよ」

俺はクレーターを登りきり辺りを見回す。
装飾の凝った黒衣を着た男、その背中には十枚の漆黒の翼が展開されている。
こいつがコカビエルか……

その近くにはファミレスで俺が奢った女の子、ゼノヴィア。
眷族きってのイケメン、木場。
俺の格闘技の師匠、塔城さんがいた。

離れた場所には紅い髪の我らが『王(キング)』、リアス・グレモリー先輩。
ポニーテールの女王様、姫島先輩。
シスター服を着た金髪の女の子、アーシアさん。
赤龍帝で俺の親友、イッセー。

久しぶりに顔を見た。嬉しくて泣きそうだぜ俺!
でも、今はそれどころじゃない。コカビエルを止めなくちゃな。

みんなの服は戦闘でボロボロだ。みんなをこんな目にあわせたコイツを許すわけにはいかない。

「ヴァーリ、俺にやらせてくれ」
「……俺も遊びたいんだが、今回は譲ってやるか。そのかわり帰ったら俺と勝負してもらうぞ」
「うっ…分かった…」

俺は一人でコイツに挑む。
コカビエルの目の前まで来るとコカビエルが口を開いた。

「何者だ貴様?白龍皇と共に居るのならば『神の子を見張る者(グリゴリ)』の関係者なのだろう?
ならば邪魔するな……」
「俺は確かに『神の子を見張る者』に世話になってるけど、あんたの命令を聞く気はないね。
アザゼルさんからはお前を連れてくるよう言われてるんだ」

俺の言葉にコカビエルは顔を怒りに歪め、叫んだ。

「アザゼルの奴め!!アイツが戦争を起こそうとしないから私が直々に火種を作ってやろうとしているのを
邪魔する気か!?ふざけるな!!戦争あってこその世界であろうに!!」

一気にまくし立てるコカビエルに向かって俺は構えを取った。

「話は直接、アアザゼルさんに言うんだな。俺はお前を倒すだけだ」

一気に距離を縮め、コカビエルの懐に入る。そのまま腹に一発!!

ドゴン!

「ガハッ!」

口から血を吐きだし、コカビエルは悶絶する。構わずその身体を蹴りあげた。
宙に蹴り飛ばされたコカビエルは翼を動かし態勢を整える。

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

憤怒の表情で光の槍を創り出すコカビエル。それはとてつもない大きさで、俺が戦ったことのある
堕天使とは比べ物にならなかった。それを俺めがけて投擲する。
でも、今の俺には通用しない。

「無駄だ」

魔法陣を目の前に展開し、光の槍を防ぐ。
ぶつかり合う衝撃でグランドが抉れる。

「ば、馬鹿な!こんな奴に……!!」

完璧に防がれたコカビエルは怯えるように後ずさった。

「堕ちろ」

俺はコカビエルの背後に魔法陣を二つ展開。そこから放たれた風の斬撃がコカビエルの翼を刈り取った。
あの訓練で、複雑な属性魔法まで使えるようになった。アザゼルさんとヴァーリのお陰だ。
俺は心のなかでヴァーリとアザゼルさんに感謝した。

「俺の羽根が!!」

バランスを崩し、墜落してくるコカビエルの真下に走り込みながら、右手に魔法陣を纏わせる。
魔法の力を乗せて、拳を打ち込む!!

「俺は…堕天使の幹部、コカビエルだぞ!!」
「だからどうした……俺は古代龍だ!!」

ドンピシャのタイミングで俺の拳が打ち込まれる。
瞬間、右手の魔法陣から魔法を発動。爆発を起こした。

ドオォォオオォン!!

煙が晴れた時には、全身に火傷を負ったコカビエルが気を失い倒れていた。

「ハハハハハ!本当に面白いな、古城英志。これは約束を絶対に守ってもらわなければな!!」

ヴァーリが高笑いしながら近づいてきた。

「さて、用事も済んだし戻るぞ」

気絶したコカビエルを担ぎながら、ヴァーリが翼を広げ飛翔する。

「ああ」

俺はヴァーリの動きを見よう見まねで翼を動かし、何とか空に浮かぶ。

『無視か、白いの』

聞いた事のない声だ。振り向くとイッセーのセイクリッド・ギアの宝玉から声が聞こえた。

『起きていたか、赤いの』

今度はヴァーリのセイクリッド・ギアの宝玉から声がした。
これは聞いたことのある、アルビオンの声だ。

『戦意が感じられないが』
『それはお前もだろう』
『お互い、他のものに興味があるようだな』

話からしてこいつらが戦争に介入した二天龍だろう。
ヴァーリに宿る『白い龍(バニシングドラゴン)』アルビオン。
イッセーに宿る『赤い龍(ウエルシユドラゴン)』ドライグ。

この二匹はライバル関係で、セイクリッド・ギア所有者どうしは戦う宿命にあるらしい。
イッセーとヴァーリ……今のイッセーじゃヴァーリの足元にも及ばないだろう。

「強くなれよ赤龍帝、君は俺のライバルなんだからな」

ヴァーリがそう言い放ち、飛び立とうとする。
俺もそれに続こうとするが……

「おい、エージ!なんでそいつについてくんだよ!帰ってこいよ!!」

イッセーは俺に声をかけた。

「悪いけど…それはまだできないんだ。でも、絶対に帰ってくるから待ってて欲しい」

今の俺は命を狙われる身だ、そいつらの正体がわかるまで俺は眷族に戻れない。

「じゃあな」

俺とヴァーリはみんなを置いて空に飛び出した。









○『神の子を見張る者』自室

コカビエルをアザゼルさんに引き渡した後、俺は自室のベッドに座っていた。
初めての禁手化(バランス・ブレイカー)は予想以上に疲労が大きい。

「もう寝るか……」

俺が眠りにつこうとしたとき、

コンコン

部屋の扉がノックされる。一体誰だ?

「どうぞ」

俺が許可すると、扉を開きヴァーリと黒いローブを着た女性が入ってきた。

「ヴァーリ、どうしたんだ?組み手ならまた今度にしてくれ」

俺は疲れで投げやりに言う。ヴァーリは首を横に振り言った。

「いや、今は別の話がしたくてきたんだ」
「別の話?」
「ああ、俺と一緒にチームを組まないか?」
「は?」

俺は言っている意味が分からず、聞き返す。

「俺はここを出て、自由に活動するつもりだ……『禍の団(カオス・ブリゲード)』でな」

それは俺の運命を左右する瞬間だった。






---後書き---

どうも、波瀬です。

今回はやっとエージが活躍できました。しかも禁手化までする始末。

ちょっとやりすぎましたかね……

さて、次からは物語が一気に動き出します。

ご意見、ご指摘ありましたら遠慮なく言ってください。これからも宜しくお願いします。


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