小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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第8章 禍の団

ヴァーリが俺をチームに誘ってきてから三日がたった。

禍の団(カオスブリゲード)。
詳しくは教えてくれなかったがテロリストの集団らしい。

そんな所に俺が行くわけないだろうに……

俺は溜め息を吐きながら、街を彷徨いていた。
先日、俺を匿っていたのがばれたアザゼルさんがシェムハザさんにこっぴどく怒られて失踪したからだ。
きっと今ごろ何処かのマンションに潜伏しているだろう。

「アザゼルさんはもう少ししっかりして欲しいなぁ」

俺はぼやきながら、照りつける日差しの中を歩いていく。

ザワッ

……誰かいるな。
近くの裏路地に続く道から感じられる視線に俺は身構える。悪魔の気配……かなり強い力を感じた。はぐれ悪魔か?

「……行ってみるか」

俺はその道を進み、奥へ向かった。ここならもしも戦闘になっても人目につかないだろうし……
そして一番奥まで辿り付いたがそこには誰もいなかった。

「……おかしいなぁ」

気のせいだったのか?
ひきかえそうとしたら、一匹の黒猫が俺の目の前に躍り出てきた。
ジーっと俺を見つめる黒猫。

「……野良猫か?」

俺は黒猫の前にしゃがみ、頭を撫でた。可愛いものでゴロゴロと喉を鳴らしている。

「はぁ〜癒される〜」

やっぱり動物は可愛いなぁ。
なんて俺が思っていたら、不意に俺の身体が動かなくなる。

「!?」

なんだ!?
俺はバランスを保てなくなり、ビルの壁にもたれ掛かる。

「にゃはは♪案外チョロいにゃ〜」

声のした方へ眼をやると、黒猫の姿は無く、代わりに黒い着物を着たスタイルのいい女の人が立っていた。その頭には猫耳がついていて、尻尾も生えている。

「だ、誰だあんた?」

俺は何とか立ち上がろうとするが、身体が言うことをきかない。

「私は黒歌。ちょっと用があって話にきたにゃん」

黒歌と名乗ったこの女性は俺の頬を触りながら続ける。

「あなたが元グレモリー眷族っていうのは本当?」
「……なんでそんな事聞くんだよ」

俺は黒歌を睨みながら言った。

「いいから答えるにゃ〜」
「ひょ!やめひょ!!」

黒歌が突然俺の左右の頬を引っ張り、俺は意味の分からない言葉を発する。
俺は観念して口を割った。

「……そうだよ、俺はグレモリー眷族だ。はぐれになったつもりはない」

黒歌は俺の返事を聞いて満足そうに笑う。

「ふ〜ん……堕天使に匿われてる時点で、はぐれだと思うけどにゃ〜」
「ぐっ……」
「悪魔はそこんところ厳しいし、眷族に戻るのは無理なんじゃない?」

……それは俺も考えていた。行方不明になった悪魔が堕天使と一緒にいる。
裏切り行為として見られても可笑しくないよな。

「……まぁ、その話はおいといて……その、白音は元気にしてるかにゃ?」

言いにくそうに黒歌が言うが、

「白音?」

俺は白音という名前に聞き覚えがなかった。

「あ〜今は塔城小猫って名前なんだけど……知ってるかにゃ?」

上目遣いで俺の顔を覗き込んでくる黒歌。そんな事されたら発育がよすぎる胸の谷間が見えてしまう。
思春期の男子高校生には刺激が強すぎる……
俺は目を反らして黒歌の質問に答えた。

「と、塔城さんがどうしたんだよ……」

早口で述べて俺は煩悩を祓うために脳内で円周率の計算を始めた。

「だから元気にしてたとか、何でもいいから教えてほしいの」

黒歌は先程までと違い、真剣な顔で俺を問い詰める。

「なんでそんなに塔城さんに拘るんだ」
「それは……白音は私の妹だから」

妹?
それじゃ、このダイナマイトなボディのエロエロな黒歌とロリボディでクールな塔城さんが姉妹?

「嘘だろ?」
「失礼ね、事実だにゃん」

頬を膨らませ抗議の声を上げる。確かにその顔はどこか塔城さんと似ている気がした。

「じゃあ妹が心配で俺に話を聞きにきたって事か?」
「そうだにゃ♪」

俺が聞き返すと黒歌は猫耳と尻尾をピーンと立てて肯定の返事をした。

「……元気にしてたよ。今は眷族から離れてるから分からないけど」

そう言った瞬間、俺の身体に自由が戻った。

「ならよかったにゃん♪」

黒歌はそう言って、俺から離れた。

「私、エージの事気に入ったにゃ〜♪エージがチームメイトになってくれたら楽しそうだにゃ」

チームメイト?

「何だよ、それ」

俺は身体に異状がないか、チェックしながら黒歌に聞く。

「私はヴァーリのチームのメンバーなんだにゃ」
「な!?」

ヴァーリがこの間言ってたチーム……黒歌はそのメンバーだってのか!?

「どんな人かと見にきて正解だったにゃん♪」
「ちょっと待て!俺はテロリストになんかならないぞ!!」

俺が叫ぶと、不満そうに黒歌が顔をしかめる。

「え〜、なら私と子作りしないかにゃ?」
「何故そうなる!?」

突然の提案にまた大声をはりあげる。

「私は強いドラゴンの子供が欲しいんだにゃん。コカビエルを倒したエージなら文句なしだにゃ。それとも……私じゃ不満かにゃ?」

うぅ……黒歌みたいな綺麗な女の子にそんな事言われるなんて……

これって、童貞卒業のチャンス!?

「あら?悪いけど、今日はここまでみたいだにゃ」

黒歌が跳躍し、空中で転移魔方陣を展開する。

「それじゃ、またね」

そう言って黒歌は何処かに転移した。
急にどうしたんだ?

「むっ?悪魔の気配を感じてきてみたが……これが部長がおっしゃっていたはぐれ悪魔か?」

入口からの声に振り向くと
そこには駒王学園の女子の制服に身を包んだ、ゼノヴィアの姿があった。

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